まず、書かれている様子を拝見して、私は「何も進んでいない」とは全く思いませんでした。
むしろ、かなり大きな変化が出てきているように感じます。
友達とオンラインで遊べる。
実際に友達と遊べる。
自分で必要な情報を調べて、文字を入力して、欲しいものを手に入れる方法を考えられる。
安心できる大人がいると分かれば、怖くても習い事に参加できる。
「やりたいことがいっぱいある」と言う。
嫌なことがあっても、翌日にはまた遊べる。
そして、自分の口から学校の話が出る。
これらは全部、本人の世界が少しずつ広がっているサインだと思います。
その一方で、「やりたい」と言うことと実際に動くことの間に大きな差がある。
ここが、今のお母さんには一番苦しいところなのですよね。
私は、この時期にはよくあることだと思います。
心や身体のエネルギーが戻ってくると、まず「やってみたい」という気持ちが出てくる。
でも、「やってみたい」と思ったことを実際に行動に移すには、それとは別の力も必要です。
予定を立てる。
準備する。
不安を抑える。
最初の一歩を踏み出す。
その場に行く。
途中で嫌になったらどうするか考える。
こうしたことには、かなりエネルギーを使います。
ですから、
やりたいと思えるところまで戻ってきたけれど、まだ実際に行動するところまでは回復していない
ということは、十分あり得ると思います。
そして、もう一つ考えてみてほしいのが、「スモールステップの大きさ」です。
「着替えるだけ」
「玄関まで行くだけ」
お母さんから見ると、とても小さなステップですよね。
でも本人にとっては、それでも大きいのかもしれません。
あるいは、「玄関まで行ったら、その次は行くことを期待される」と感じている可能性もあります。
その場合は、
「着替えてみる。でも行かなくていい」
「玄関まで行ってみる。でもそこで終わっていい」
くらいまで小さくしてみてもいいと思います。
成功したら次へ進む、ではなく、
やってみたけど、やっぱり今日はやめた!も成功くらいにしておく。
そうすると、「一歩踏み出したら、その先まで頑張らなければいけない」というプレッシャーが減ります。
そして、本人が自分で「やってみよう」と言ったとき。
私は、今のお母さんが書いている
「背中を押すのではなく、背中を支える」
という感覚は、とてもいいと思います。
ただ、「支える=何もしない」ではありません。
例えば本人が、
「明日、習い事行ってみようかな」と言ったら、
「いいね。じゃあ明日行けるように、何を準備しておけばいい?」
と一緒に考える。
「着替えるだけやってみる」と言ったら、
「じゃあ着替える服だけ出しておこうか」と準備を手伝う。
本人が動き出したときに、障害物を少しどけてあげる。
それくらいでいいのだと思います。
そして、途中でできなくなったら、「今日はここまでね」で終わる。
「せっかくここまでやったんだから、あと少し」とは言わない。
この「いつでもやめられる」という安心感が、次の挑戦につながることもあります。
また、情報についても、お母さんが集めていいと思います。
小学3年生ですから、学校との連絡や必要な情報を本人が全部集める必要はありません。
親が、「こういうイベントがあるよ」「こんな場所があるみたい」「今度こういうことができるみたいだよ」と情報を持ってきて、
「興味があったら教えてね」と置いておく。
本人が食いついたら、一緒に調べる。
興味を示さなければ、そのままにする。
これは「誘導」ではなく、「選択肢を見えるところに置いておく」ということです。
ただし、「せっかく教えてあげたんだからやってみようよ」まで進めない。
情報は渡す。
選ぶのは本人。
このくらいの距離感がちょうどいいのではないでしょうか。
そして、学校の話が本人の口から出るようになったことも、私はとても大切だと思います。
「学校どうする?」
とこちらから聞かなくても、本人から学校の話が出る。
これは、「学校」というものを少しずつ自分の世界に戻し始めている可能性があります。
でも、ここでもすぐに、「じゃあ行ってみる?」とつなげなくていいと思います。「学校のこと、最近考えることあるんだね」「そうなんだ」
と、まず話を聞く。
「誰に会いたい?」
「何が楽しそう?」
「何がちょっと嫌?」
そんな話ができるようになってきたら、本人の中にある「学校との距離感」が少しずつ見えてくるかもしれません。
やりたいと思えるようになってきたんだね。じゃあ、身体が追いついてくるまで、少し待とう
くらいでいいのではないでしょうか。
回復には波があります。
できることが増えたあとに、また動けなくなる日があっても、それだけで振り出しに戻ったわけではありません。
昨日できたことが今日できない。
今週は外に出られたけれど、来週は出られない。
そういうこともあります。
だから、「一歩進んだら次の一歩」という直線ではなく、
できる日とできない日を行ったり来たりしながら、少しずつ全体として広がっていく
くらいに考えておくと、お母さんも少し楽になるかもしれません。