この状況で親御さんが情報を集めて、選択肢を整理しようとしていることは、決して間違っていないと思います。
むしろ、進級が難しいという話が出ている以上、親が制度や学校の情報を調べておくことは必要です。
ただ、「調べた選択肢を本人に並べて、どれにするか決めてもらう」というところは、少し待ってもいいのではないでしょうか。
60日を超える欠席、単位を落としていること、進級が難しいと言われたこと。
これだけのことを一度に突きつけられたら、「もう行かない」「どうでもいい」と言いたくなるのも無理はないと思います。
でも、傷つきすぎて、今は考えたくないだけなのかもしれません。
ですから、「どうでもいいと言っている=何も考えていない」とは決めつけず、まずは本人が少し落ち着いてから考えられるようにしてあげてもいいと思います。
そして、親が調べることと、本人に選択を迫ることは別です。
親御さんは今のうちに、それぞれの学校や制度について情報を集めておく。
でも本人には、
「今すぐ決めなくていいよ。お母さん(お父さん)が調べておくから、少し元気になったら一緒に考えよう」
くらいでもいいのではないでしょうか。
3つの選択肢については、それぞれメリット・デメリットがあります。
原級留置(留年)は、今の高校に在籍しながらもう一度同じ学年を学ぶ方法です。今の学校や人間関係をそのまま引き継げる一方で、「1学年下の生徒と一緒になること」が本人にとって大きな負担なら、心理的なハードルはかなり高いと思います。
通信制高校への転入は、これまで取得した単位を引き継げる可能性がありますが、どこまで認定されるか、卒業までにどれくらいの単位が必要なのか、卒業時期がどうなるのかは学校によって異なります。ですから、候補校には「今までに取得した単位」「在籍期間」「現在の学年」「未修得科目」を伝えて、具体的に確認するのが大切です。
高卒認定は、高校を卒業する代わりに、高等学校卒業程度認定試験に合格することで、大学・短大・専門学校などの受験資格を得る道です。
ただし、「高卒認定を取れば、その後は安心」というものでもありません。進学するのか、就職するのか、別の学びをするのか、その先を本人が考えていく必要があります。
一方で、高卒認定を選んだからといって、必ず家にこもったままになるわけでもありません。
どの道を選ぶかによって将来が決まるというより、その後にどんな環境で本人が動き出せるかのほうが大きいのだと思います。
だから今、「一番将来の選択肢が広いのはどれか」だけで考えなくてもいいと思います。
むしろ、
「この子がもう一度、自分の人生について考えられる状態になるには、どの環境が合っているだろう」
という視点を持ってみてほしいです。
そして、「どうでもいい」と言っている本人に、親が調べた情報を全部説明しなくてもいいと思います。
例えば、
「通信制っていう選択肢もあるみたいだよ。今までの単位がどこまで使えるかは学校に聞いてみるね」
くらいにしておく。
本人が「それならちょっと聞いてみたい」と言ったら、一緒に調べる。
「今は聞きたくない」と言ったら、いったん置いておく。
そんなふうに、選択肢を本人の目の前に一気に並べるのではなく、親が後ろで準備しておくことも立派な支援だと思います。
そしてもう一つ、気になるのが「どうでもいい」という言葉です。
ここまで追い込まれたときの「どうでもいい」が、単なる無気力なのか、本人が傷ついているサインなのかは、親御さんだけでは判断しにくいと思います。
睡眠や食事、外出、好きだったことへの興味など、日常生活にどんな変化が出ているのかも見てあげてください。
進路の話だけではなく、「最近どう?」「学校のことは今は考えなくていいよ」と、本人の状態そのものを見る時間も大切だと思います。
高校2年生ですから、ここから先の進路はまだいくらでも作り直せます。
留年して高校を続ける道も、通信制に転入する道も、高卒認定を取って進学する道も、それぞれその先があります。
親御さんが今できることは、本人の代わりに人生を決めることではなく、本人がもう一度「自分で決めてみようかな」と思えるところまで、選択肢を整理しておくことなのではないでしょうか。