妹さんの「お兄ちゃんばっかりずるい」という言葉、私はとても大事なSOSだったのではないかと思います。
そして、私は「この段階で言ってくれてよかった」とも思いました。
手のかからない子ほど、「大丈夫だろう」と思われてしまいますよね。
でも、本当は手がかからなかったのではなく、「手をかけてもらう必要があることを言わずに我慢していた」のかもしれません。
参観日を忘れられたこと。
テストを見せても「あとでね」と言われたこと。
お兄ちゃんのことで家の中がいっぱいになっていること。
妹さんは、きっといろいろ感じていたのだと思います。
まずは「そうだよね。お兄ちゃんのことばかりになってたね。ごめんね」と言ってあげていいと思います。
「お兄ちゃんは学校に行けなくて大変なのよ」と説明して、妹さんに我慢を求める必要はありません。
むしろ、
「お兄ちゃんのことで忙しくなっていたけど、あなたのことを大切に思っているのは変わらないよ」
「あなたの話もちゃんと聞きたい」
「してほしいことがあったら言ってね」
と伝えてあげる。
妹さんに説明するのは、「お兄ちゃんには学校に行くことが難しい時期がある」「それはあなたのせいではない」という程度で十分なのではないでしょうか。
お兄ちゃんがなぜ学校に行けないのかという詳しい事情や、学校とのやり取り、親御さんが抱えている不安まで、妹さんに理解してもらう必要はないと思います。
きょうだいだからといって、妹さんをお兄ちゃんの理解者や協力者にしなくてもいいんです。
そして、「お兄ちゃんが家にいるから友達を呼べない」ということについては、妹さんの日常に実際に影響が出ているので、できる範囲で工夫してあげてほしいと思います。
例えば、友達を呼べる時間を作る。
難しければ、親御さんが友達の家に送っていく。
休日に妹さんとお友達が外で遊ぶことについていく。
10分でも15分でも、「今日は妹ちゃんの話を聞く時間」と決めて、その時間だけはお兄ちゃんの話をしない。
テストを見せに来たら、できるだけその場で一緒に見る。
参観日を忘れてしまったなら、「次は行くからね」と約束する。
そういう小さな積み重ねで、「私はちゃんと見てもらえている」という感覚は取り戻していけると思います。
そして、お母さんが「手が回らない」と感じていることも、無理もないと思います。
不登校の子どもがいる家庭では、どうしてもその子の学校とのやり取りや生活のことに親の意識が集中します。
だから、「もっと妹にも手をかけなければ」と自分を責めて、さらに苦しくならなくても大丈夫です。
むしろ今回、妹さんの「ずるい」という言葉をちゃんと受け止めて、「私は妹のことを後回しにしていたんだ」と気づけた。
妹さんがSOSを出してくれた今なら、「気づいてもらえた」と感じられる関わりに戻していけます。
そして、妹さんには「お兄ちゃんと同じだけ手をかける」必要はありません。
「あなたのこともちゃんと見ているよ」と伝わることが大切なのだと思います。
お兄ちゃんの不登校がすぐに解決しなくても、妹さんの毎日まで一緒に止めなくていい。
お兄ちゃんはお兄ちゃんの時間を。
妹さんは妹さんの学校生活や友達との時間を。
きょうだいそれぞれの生活を守っていくことも、不登校の子を支える家庭では大切なことなのだと思います。
そして何より、「お兄ちゃんばっかりずるい」と言えた妹さん。
私は、その言葉を言える関係がまだちゃんと残っていることを、大切にしてほしいと思います。