「犯人探しでも処罰でもありません。息子が安心して戻れる状態を作ってほしいだけです」という言葉に、お父さん(お母さん)が学校に求めていることがすべて表れているように感じました。
まず、上履きを隠される、教科書に落書きをされる、グループラインから外されるということが続き、その結果として学校に行けなくなっているのであれば、「遊びのつもりだった」という加害側の認識だけで終わらせていい話ではないと思います。
いじめは、本人がどう感じ、どのような被害が生じているのかという視点が大切です。
そして、すでに担任、学年主任、教頭と3回相談しているのであれば、次は「もう一度お願いする」というより、学校として具体的にどう対応しているのかを確認していい段階だと思います。
例えば、
「学校として、この件をいじめとしてどのように認知していますか」
「現在、学校ではどのような対応をしていますか」
「息子が再登校した場合、加害生徒との接触をどう防ぎますか」
「安心して登校できる状態をどのように確認しますか」
「今後の対応について、いつまでに誰から説明してもらえますか」
というように、できるだけ具体的に聞いてみてはどうでしょうか。
「ちゃんと対応してください」だけではなく、「何を、誰が、いつまでにするのか」を確認することが大切だと思います。
また、「重大事態」という言葉を出すことをためらう必要もないと思います。
文部科学省の現在のガイドラインでは、児童生徒や保護者から重大事態の申立てがあった場合、法の要件に照らして重大事態に当たらないことが明らかな場合を除き、重大事態として報告・調査等に当たることが示されています。いじめによって相当期間の欠席を余儀なくされているケースなども、重大事態の対象になり得ます。
ですから、「重大事態にしてください」と強く要求することが目的ではなく、
「息子はいじめを受けた結果、現在学校に行けない状態になっています。重大事態に該当する可能性も含め、学校としてどのように認識し、対応するのかを確認したいです」
と伝えてみてもいいと思います。
そして、学校との話し合いをしても対応が曖昧なまま、何をしているのか分からない状態が続くのであれば、教育委員会に相談することも、決して大げさなことではありません。
教育委員会に行くことは、「学校を飛び越えて学校を責める」という意味ではなく、学校だけでは対応が進まないときに、学校の設置者である教育委員会にも状況を共有して、対応を一緒に考えてもらうという選択肢です。文部科学省も、学校だけでなく教育委員会等を含めた重大事態への備えや対応を求めています。
そして、今は「息子をどうやって学校に戻すか」を急がなくてもいいと思います。
いじめが解決していない状態で、「そろそろ学校へ」と戻すことのほうが、本人にとっては怖いことがあります。
まずは「学校に戻っても、また同じことが起こるかもしれない」という不安をなくすこと。
そのために、学校が事実をどう把握しているのか、何をしているのか、再発防止や安全確保をどうするのかを、親子が分かる形で示してもらうこと。
そして、お子さんが今まで何も言わなかったことを、「もっと早く言ってくれれば」と責めないであげてほしいです。
いじめを受けている子が、それを親に話すのは簡単なことではありません。
布団から出られなくなるまで気づけなかったことを、親御さんが自分の責任だと思わなくてもいいと思います。
今、息子さんがようやく話してくれたこと。そして、親御さんがそれを聞いて、学校に3回も相談していること。
「学校に戻す」より先に、「もう一度傷つけられない場所を作る」。
そのために学校と話し合い、それでも動かなければ教育委員会にも相談する。
それは、息子さんを守るための大切な行動だと思います。