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不登校ミーツ

不登校はいつまで続く? 何年で回復するのか、回復の過程と親ができることを公認心理師が解説

公開  不登校ミーツ編集部

この記事の要点

  • 「何年で回復するか」は、わかっていたら苦労しないのが本人の気持ち。親が「新学期になったら」「新年度になったら」と区切りを決めると、プレッシャーになるだけのことが多い(公認心理師・髙橋紀子先生)。
  • 本人が自分で作った目標のほうが信用できる。一方で、親の仕事の休みがいつまでかなど、家庭の現実は共有しておいたほうが、本人が「じゃあどうしよう」と考えやすい。
  • 回復は突然に見えても、本人はずっと考えたり調べたりしていることが多い。土の中の種が芽を出すまでのように、見えないところで成長は続いている。
  • 回復のキーポイントは「自分で考えて、自分で行動する」の繰り返し。最初は「パンかご飯か」のような小さな選択から。自分で考えることは、人の役に立つことにもつながる。

「この状態は、いつまで続くんだろう」

最初は少し休めば戻れると思っていたのに、気づけば何か月も経っている。何年も続いたらどうしよう──不登校が続くと、多くの親御さんが「いつになったら良くなるのか」という答えを探し始めます。

不登校から回復するまでには、どのくらいかかるのでしょうか。そして、その間に親ができることは何なのでしょうか。

今回は、公認心理師の髙橋紀子先生に、不登校がいつまで続くのか、回復の過程と、回復を支える親の関わりを伺いました。

対談する不登校ミーツのかほと公認心理師の髙橋紀子先生
左:かほ(不登校ミーツ)/右:髙橋紀子先生

不登校は何年続く? 回復の目安はある?

髙橋先生の答えは、「何年で、という目安は言えない。そして、親が『新学期から』と区切りを決めると、プレッシャーになるだけのことが多い」というものでした。

かほ
かほ:

多くの方が気になる質問として、「何年経ったら治るんですか」「何か月経ったら良くなるんですか」という質問がすごく多いんです。答えるのがとても難しいと思うのですが、目安があれば教えていただけますか。

髙橋先生
髙橋先生:

それがわかっていたら苦労しない、というのが、たぶん本人の気持ちだろうなと思うんですが……。

親御さんの中で結構多いのは、「新学期になったら」「新年度になったら」という区切りや目標の立て方です。それは、どちらかというとプレッシャーになるだけのことが多いなと思います。

当事者である本人が作った目標のほうが、もうちょっと信用できるというか。本人に「この時までに頑張りたい」というのがあるときはいいんですが、学校のスケジュールに合わせて、というのは難しいこともあるかなと思います。

話す髙橋紀子先生
「それがわかっていたら苦労しない、というのが本人の気持ち」と髙橋先生

親の仕事の事情は、子どもに伝えていい?

区切りを押しつけないほうがいい一方で、家庭の現実は共有しておいたほうがいい、と髙橋先生は言います。

髙橋先生
髙橋先生:

ただ、親御さんのお仕事の休める期間がここで終わるとか、今までのようには一緒に家にいられないんだよ、とか。そういった現実は、共有していたほうがいいだろうなと思います。

かほ
かほ:

そういうことを共有しておくと、どんな影響があるんでしょうか。

髙橋先生
髙橋先生:

ずっと親も一緒にいてくれると思って家で過ごしているのと、たとえば「一緒にいられるのは7月までで、8月からはお母さんもフルタイムになるんだ」とわかっているのとでは違います。

そうなったときの考える余地が本人にあったほうが、「それじゃあどうしよう」と思いやすいかなと思います。

伝え方子どもへの影響(髙橋先生の話から)
避けたい「新学期から行こうね」と、学校の区切りを目標にするプレッシャーになるだけのことが多い
伝えておきたい「8月からはお母さんもフルタイムになる」など、家庭の現実本人に考える余地ができ、「じゃあどうしよう」と思いやすい

回復は、ある日突然やってくる?

外から見ると、ある日突然元気になったように見えることがあります。でも髙橋先生によると、本人に聞くと「ずっと考えていた」と話すことのほうが多いそうです。

かほ
かほ:

高校から社会に戻っていくまでは、ある日突然ポッと社会とつながれるようになるというより、段階を踏んで進んでいくものなのでしょうか。

髙橋先生
髙橋先生:

これがですね、客観的に見ると、ポッと良くなっているように見えるときもあるんです。でも本人に聞くと、急に良くなったわけではなくて、ある時期から調べていたり、すごく考えていたり、いろいろしていたんだ、と言うことのほうが多いです。

たぶん、土の中の種が土の上に芽を出すのは一瞬かもしれないけれど、土の中では成長する過程がずっと続いているんだろうなと思います。

かほ
かほ:

周りの大人からすると突然始まったように見えても、お子さんはずっと考えて、ずっと成長して、回復しているということですね。

髙橋先生
髙橋先生:

そうですね。語弊があるかもしれませんけど、基本的に、子どもや若者に関しては、成長しないほうが難しいと思うんです。若者の成長の力は、全然あなどれないなと思います。

話す公認心理師の髙橋紀子先生
「土の中では、成長する過程がずっと続いている」

回復のキーポイントになるのは、どんな力?

自己肯定感、レジリエンス……回復のために大切だと言われることはたくさんあります。髙橋先生がこれまで見てきた中で挙げたのは、「自分で考えて、自分で行動する」ことでした。

かほ
かほ:

不登校から社会に戻っていくためには、自己肯定感を上げることが大事、レジリエンスを高めましょう、などいろいろなことが言われます。髙橋先生がこれまで見てきた中で、特にキーポイントになる要素は何だと思いますか?

髙橋先生
髙橋先生:

自分で考えて、自分で行動する。それを繰り返して元気になっていく人が多いなと思います。

それは不登校がダメだったという話ではなくて、不登校という選択をすることができた人だからです。本人も望んでいなかったかもしれないけれど、今学校には行けないと思って、その行動を取れている。それは何かしらの強みにつながっている可能性もあるので、自分で考えて、判断して、行動する。そのサイクルを繰り返していけると、元気になっていくと思います。

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「自分で決める」は、どんな小さなことから始めればいい?

自分で考えて行動する、と聞くと大きなことに思えます。でも髙橋先生がすすめるスタートは、毎日の暮らしの中の、とても小さな選択です。

かほ
かほ:

具体的な行動の例でいうと、どんな形がありますか?

髙橋先生
髙橋先生:

最初は、「今日はパンがいい、ご飯がいい」とか。元気がないときは「どっちでもいい」と言うけれど、「ご飯にして」と言える。小さな選択ができるようになることが、最初はいいかなと思います。

かほ
かほ:

パンかご飯か、といった小さな自己決定が、だんだん、自分のことを自分で決めたり、学校に行く・行かないを決めたり、という一歩に変わっていくということですね。

髙橋先生
髙橋先生:

そうです。それから、自分で判断ができると、人のサポートもできるんです。

たとえばお母さんから「今日、カレーがいいと思う? ハヤシライスがいいと思う?」と聞かれて、「ハヤシライスがいいんじゃない?」と答える。それは「ありがとう」になりますよね。自分で考えることで、人に貢献できる、役に立てるというところにもつながっていくかと思います。

かほ
かほ:

自己決定する力と、人に貢献する力。社会参加の土台になる力ですね。

髙橋先生
髙橋先生:

本当にそうだと思います。

不登校の子の親御さんへ、髙橋先生からのメッセージ

最後に、何年も不登校が続いていて、この先が不安な親御さんへ、髙橋先生にメッセージをいただきました。

髙橋先生
髙橋先生:

まず、親御さんの心身のご負担が一番気になります。そこのケアを、まず一番目に考えていただけるといいなと思います。

それから、家族の中だけで解決しようとすると、どうしても難しくなることが多いと思うので、ぜひ相談機関の利用を考えていただけるといいなと思います。ご本人が行かなくても相談できることが多いですし、それができるかどうかを事前に電話などで問い合わせてもいいと思います。

自分たちだけで考えないで、いろんな人と相談しながら取り組んでいけるといいんじゃないかなと思います。

笑顔で話す髙橋紀子先生
「若者の成長の力は、全然あなどれない」

「いつまで続くのか」に、決まった答えはありません。でも、外からは止まって見える時間の中でも、子どもは考え、成長しています。親が区切りを決めて急がせるより、家庭の現実は正直に伝えつつ、毎日の小さな「自分で決める」を一緒に積み重ねていきましょう。

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