
不登校の子の進路、親はどう関わる? 高校選び・転校の話し合い方を公認心理師が解説
公開 不登校ミーツ編集部
この記事の要点
- 一番やめたほうがいいのは、親もわからないのに、子どもに「どうしたいの?」とだけ聞くこと。子どもには重すぎる判断になる。親が先に調べたり、見学・体験に行ったりする下準備をしておくと親切(公認心理師・髙橋紀子先生)。
- 子どもがChatGPTなどに相談して結論だけを持ってきたときは、やりとりの概要をまとめてもらい、結論までの経過も共有してもらうと安全。思いつきと決めつけると、本人が自分で選ぼうとしていることを見落とす。
- 選んだ進路でまたうまくいかなくても、そこで何があるかを知らなかったのは親も本人も同じ。子どもの責任にすると、意見を言わない・考えないほうが安全、になってしまう。
- 家の経済状況をすべて子どもに伝えて判断を任せるのは重すぎる。大人が上限を見たうえで「この中ならこういう選択肢が取れる」と伝える。中高一貫校をやめたいなどシビアな話は、カウンセラーなど第三者と作戦会議を。
「高校、どうする?」
不登校が続く中で受験や進学の時期が近づくと、親は焦ります。本人に聞いても答えが返ってこない。かと思えば、ある日突然「この通信制に行きたい」「転校したい」と言い出す。
進路を決めるとき、親はどこまで口を出していいのか、どこから本人に任せればいいのか。
今回は、公認心理師の髙橋紀子先生に、不登校の子の進路を決めるときの、親の関わり方を伺いました。

進路やきっかけづくり、親が頑張って用意したほうがいい?
髙橋先生の答えは、「親の余力や関心にもよるけれど、ゼロから全部本人に考えさせるのは厳しい。親が先に調べるなどの下準備はしておいたほうが親切」というものでした。
保護者の方からよくいただくご相談に、「社会に戻るきっかけになるイベントや、人とつながるきっかけを、親が頑張って作ったほうがいいんでしょうか」という声があります。
それは親御さんのエネルギーや関心にもよるんですが、一番やめたほうがいいのは、親もわからないのに、子どもに対して「どうしたいの?」とだけ聞くことです。それは、あまりに子どもにとって重い判断だなと思います。
今は子どもも自分で調べたりできるようになっていますが、わからないこともあります。ですから、親が先に調べて、体験でも見学でもいいので行ってみて、「こういうところに行ってきたよ」と伝える。そういう下準備をしておいたほうが、情報の提供の仕方として親切かもしれません。
ゼロから全部本人に考えさせるのは、厳しいなと思います。
ある程度は、階段をほんのちょっとだけでも作ってあげると親切、ということなんですね。
そう思います。

子どもがChatGPTに相談して決めてきた進路、そのままOKしていい?
最近は、子どもが生成AIに相談して、進路の結論だけを持ってくることもあるそうです。髙橋先生は「結論だけでなく、結論に至るまでの経過も共有してもらうと安全」と話します。
最近は、子どものほうがChatGPTなどでずっと相談していて、結論だけを持ってくる、ということもあるんです。
そのときは、ChatGPTとのやりとりを少し概要にまとめてもらって、結論に至るまでの経過もシェアしてもらうなどしておくと安全です。
ChatGPTといろいろ話し合って「どこどこの通信制に行きたい」と言ってきたときに、そのままOKするのではなく、なぜ、どんなふうに考えて結論を出したのかを、しっかり把握していこうということですね。把握していないと、どんなリスクがありますか?
思いつきで言っていると、子どものことを決めつけてしまったり、そのアイデアに対して親の意見をすぐに言ってしまったりして、せっかくの対話のチャンスや、本人が自分で選ぼうとしていることを見落としてしまうことが多いように思います。
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自分で選んだ進路で、またうまくいかなかったら?
本人が自分で決めた進路に進んだのに、そこでもまた学校に行けなくなった。そんなとき、つい「あなたの判断を信じたのに」と言いたくなる親御さんもいるかもしれません。
たとえば、高校受験をして、お子さんが自分で決めた進路に進んだけれど、やっぱりそこでもうまくいかなかった。また不登校になってしまったときに、「あなたの判断を信じたのに、うまくいかなかったよね」とおっしゃる親御さんもいると思います。そういう場合、親御さんはどう考えたらいいでしょうか。
そこで何があるかを知らなかったのは、保護者も本人も一緒ですよね、というところかなと思います。
それを片方だけの責任にしてしまったり、お子さんの責任にしてしまったりしたら、意見を言わないほうが得だし、考えないほうが安全、というふうになってしまいます。それは、その人がその人らしい人生を送る能力を潰してしまうんじゃないかなと思います。
自分で選んだ結果を責められると、次からは自分で選ばなくなってしまう。不登校からの回復には「自分で考えて、自分で行動する」ことの繰り返しが大切だ、と髙橋先生は話しています(詳しくは不登校はいつまで続く?)。うまくいかなかったときこそ、本人の「選ぶ力」を守る関わりが大事になります。

「転校したい」と言われたら、学費の話はどこまで伝える?
お子さんが「転校したい」と言い出して、親の考えと食い違うこともあります。髙橋先生は「大人同士で考えることと、子どもと共有することを分ける」ことをすすめます。
お子さんが「転校したい」と言い出して、親御さんの意見とお子さんの意見が食い違うときは、どんなふうに話し合っていけばいいでしょうか。
その場合は、親同士、大人が考えることと、子どもと共有することを分けたほうがいいと思います。
つまり、この家庭の経済状況がどのくらいで、今後どのくらい学費に使えるかを、すべて子どもに伝えて判断を任せるのは、子どもには重すぎることだと思います。
でも逆に、お金が限りなくあるわけでもないのも事実だと思います。それはどんなご家庭でもそうだと思うので、ご夫婦でも、親戚の人とかでもいいです。もしお一人で育てていらっしゃる場合はその方が、まず経済的な上限などをある程度見て、「その中でこういう選択肢は取れる」という言い方をする。
ゼロからすべてをさらけ出して伝えるのは、たまにうまくいくかもしれないですけど、結構リスクはあるなと思います。
基本的には、条件のひとつくらいのイメージで伝えていくのがいいんですね。
| 伝え方 | 髙橋先生の見方 | |
|---|---|---|
| 避けたい | 家の経済状況や学費に使える額をすべて伝えて、判断を任せる | 子どもには重すぎる |
| すすめたい | 大人が先に上限を見たうえで、「この中なら、こういう選択肢が取れる」と伝える | 条件のひとつとして共有する |
この記事でお話を伺った先生に、
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髙橋 紀子先生
公認心理師・臨床心理士
学校に行けない日々を、一緒に考えます
中高一貫校をやめたいと言われたら、どう話し合う?
最近よく聞くのが、中高一貫校に通っている子が「別の学校に移りたい」と言い出すケースだそうです。
最近お聞きするケースとしては、せっかく中高一貫校に行かせて、受験しないで済むようにしていたのに、違うところに行くとなると、そこがどんな学校かもわからない。「せっかく入れたのに」というところもあったりします。
親御さんの気持ちもとってもわかるし、子どもの意見だけで決められないのも本当にそうなんです。そのときは、保護者の方はカウンセラーなどを活用して作戦会議をしつつ、子どもとそれをどう共有していくか、どう話し合っていくか、というふうにしていかれたほうがいいなと思います。
そのあたりは親子や家庭の中だけで話すのではなくて、第三者を入れたほうが、冷静に話し合えるんですね。
そう思います。
不登校の子の親御さんへ、髙橋先生からのメッセージ
進路の話は、家族だけで抱えるとどうしても行き詰まりがちです。最後に、髙橋先生からのメッセージです。
家族の中だけで解決しようとすると、どうしても難しくなることが多いと思うので、ぜひ相談機関の利用を考えていただけるといいなと思います。
ご本人が行かなくても相談できることが多いですし、それができるかどうかを事前に電話などで問い合わせてもいいと思います。自分たちだけで考えないで、いろんな人と相談しながら取り組んでいけるといいんじゃないかなと思います。

進路は、子どもに丸投げしても、親が決めてしまっても、うまくいきにくいものです。親が先に調べて情報を用意し、子どもが考えた道筋に耳を傾ける。うまくいかなかったときは、一緒に知らなかったこととして受け止める。そのくり返しが、お子さんが自分の人生を選んでいく力になっていきます。
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髙橋 紀子先生
公認心理師・臨床心理士
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