このご相談を読んで、まず「境界知能だから支援級」というふうに考えなくていいのではないかと思いました。
大切なのはIQの数字そのものよりも、「今の環境で何が起きているのか」ではないでしょうか。
すでに授業についていくことが難しくなり、テストを返される時間が一番つらい。そして「バカだと思われるのが嫌」という言葉が出ていて、今は週に1日行ければいい状態になっている。
これは、学習面のつまずきだけではなく、「自分はできない」「みんなより劣っている」という感覚が積み重なっている状態なのかもしれません。
だから中学3年間で何を優先するかと聞かれたら、私は「勉強についていくこと」だけではなく、まず本人が「自分はダメな人間なんだ」と思わずに過ごせる環境をつくることを優先したいと思います。
文部科学省も、子ども一人ひとりの特徴に気づき、よいところを伸ばし、自己肯定感を持って学校生活を送れるようにすることを大切にしています。
一方で、「支援級には行きたくない」という本人の気持ちも、とても大切です。
友達と同じ教室にいたい、みんなと同じでいたいという気持ちは、単なるわがままではなく、この年齢なら当然の思いだと思います。
ですから、「本人が嫌と言っているから通常級」でも、「通常級では無理そうだから支援級」でもなく、まず学校と一緒に「この子にとって、どんな支援があれば通常級で学べるのか」を具体的に考えてみてはどうでしょうか。
例えば、授業の内容や量の調整、課題の出し方、テストの受け方、個別の声かけ、通級による指導など、支援級に行く・行かないの二択になる前に検討できることがあります。現在の特別支援教育も、通常学級での指導・支援、通級、特別支援学級を、本人の教育的ニーズに応じて段階的に考える方向が示されています。
そして、もし通常級で試すのであれば、「頑張ってみて、無理だったら支援級」ではなく、「どんな状態ならうまくいっていると言えるのか」「何が難しくなったら見直すのか」を学校とあらかじめ決めておくといいと思います。
逆に支援級を選ぶとしても、「できない子が行く場所」ではなく、「その子が安心して学ぶために環境を変える」という捉え方ができるといいですよね。
親が選ぶべきなのは、本人の希望か環境の適切さか、その二択ではないと思います。
本人の「こうしたい」という気持ちを大切にしながら、「その希望を実現するためには、どんな環境や支援が必要なのか」を一緒に探していく。
そして何より、「バカだと思われるのが嫌」と言っている子にとっては、勉強ができるようになること以上に、「分からないことがあっても、自分の価値は下がらない」と思える経験を中学校で積めることが大切なのではないかと思います。