
不登校が長期化したら? 親のメンタルの保ち方と、子どもが回復した家庭の共通点を公認心理師が解説
公開 不登校ミーツ編集部
この記事の要点
- 不登校が長期化すると、ヘトヘトになりやすいのはむしろ親のほう。子どもには回復力もエネルギーもあるが、大人は大人のエネルギーしかない。長期化しそうなときは、親のメンタルヘルスをすごく大切にしてほしい(公認心理師・髙橋紀子先生)。
- 子どもが回復した家庭の共通点は、親が倒れないこと。「あなたのせいで私はこうなった」はとても強い呪い。つらい中でも少し楽しみを見つけることが、子どもにプレッシャーをかけすぎないことにつながる。
- 人に見られたくない・知られたくないと、子どもを家の中に隠してしまうと長期化しやすい。必要なサポートや試行錯誤ができなくなる。
- 「子どもが不登校でなくなったら始める」と楽しみを先延ばしにしない。いつになるかわからない我慢は、恨みや怒りになる。家族だけで抱えず、本人が行かなくても相談機関を使ってほしい。
「もう何年も、この生活が続いている」
最初のころは必死に情報を集め、子どもに寄り添おうとしてきた。でも不登校が長引くうちに、仕事も、自分の楽しみも後回しになり、気づけば親のほうが心も体もすり減っている──そんな親御さんは少なくありません。
不登校が長期化したとき、親は自分の心をどう保てばいいのでしょうか。
今回は、公認心理師の髙橋紀子先生に、不登校が長期化したときの親のメンタルの保ち方と、子どもが回復していった家庭に共通する関わり方を伺いました。

不登校が長期化すると、親はどうなる?
髙橋先生によると、不登校が長期化したときにヘトヘトになりやすいのは、子どもより、むしろ親のほうです。
どちらかというと、親御さんのほうが、長期化するととってもヘトヘトになるところがあるので、保護者の方が元気でいることがとても大事だなと感じます。
長期化すると、親御さんもメンタルをやられてしまう方が多いんですね。
そちらのほうが、かなり大きいです。
子どものほうは回復力もすごくあるし、エネルギーもとってもあるんですけれども、それと大人が向き合っていると、大人は大人のエネルギーしかないですし、お仕事もしていたりするので、大人のほうが倒れちゃったり、ヘトヘトになったり、お仕事が難しくなったりということもあります。
ですから、長期化していくかもな、というときは、親御さんのメンタルヘルスをすごく大切にしていったほうがいいなと思います。

子どもが回復した家庭に、共通していることは?
たくさんの家庭を見てきた髙橋先生が、子どもが回復していった家庭の共通点として最初に挙げたのは、「親御さんが倒れないこと」でした。
これまでたくさんのご家庭を見てこられた中で、最終的にお子さんが社会に戻っていったご家庭には、親御さんの関わり方で何か共通点はありましたか?
まずは、親御さんが倒れないこと。一旦倒れてもいいんですけれども、親御さんが健康でいることは、子どもが回復しやすいなと思います。
「あなたのせいで、私はストレスでこうなってしまったのよ」というのは、とても強い呪いだなと思うので。
親御さんが元気でいるというか、すっごくつらいんですけど、ちょっと楽しみを見つけて、楽しいこともする。それは、子どもに対してプレッシャーをかけすぎない、一つの大きな要因だなと思います。
身体的な健康だけでなく、精神的に健やかでいることが大事ということですね。
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親が自分の人生を楽しむのは、子どものためにもなる?
不登校の子を抱えながら、親が楽しんでいいのか。そう迷う親御さんに、髙橋先生は当事者から聞く声を紹介してくれました。
当事者の方から聞くと、「私のせいでお母さんの人生を奪った」「私のせいでお父さんは何々を諦めた」というのは、結構出てくるんです。その責任は、重すぎるなと感じます。
実際はそういうこともあると思うんですけど、できるだけ、親は親で、幸せになれる分は幸せになっておくことが、子どもが子どもの人生を生きていきやすくなる、一つの子育ての仕方かなと思います。
子育てって、ある程度自分の人生を多少は犠牲にしないとできないので、どうしても自分の人生と子どもの人生が一体になってしまう方も多いのかなと思います。でも、ある程度自分が幸せになっていいところは幸せになる、というのは大事ですね。
とっても大事です。もたないですよね。
本当に、晩ごはんは自分の好きなメニューを作るでもいいですし、何曜日は自分が何々をするでもいいですし。そういうのは本当に大切にしていただきたいなと思います。

不登校が長期化しやすいのは、どんな関わり方?
反対に、子どものためを思ってしていることが、かえって回復を遅らせてしまうこともあります。髙橋先生が挙げたのは、子どもを家の中に「隠して」しまうケースです。
この聞き方がいいかわからないのですが、子どものためを思ってやっているけれど、結果的に回復を遅らせてしまいやすい関わり方があれば教えていただけますか。
子どもの状態を他人に見られたくない、知られたくないということで、ご家族が子どもを家の中に隠してしまうケースは、かなり長期化しやすいなと思います。
小学校や中学校のときは、不登校は把握されやすいんですけれども、それがずっと続いていくと、学校側もコンタクトを取らなくなっていったり、様子をあまり確認されなくなったりすることもあります。
それから、祖父母世代からの干渉が強すぎて、「大丈夫」ということにしているとか。そうすると、ご本人に必要なサポートや、必要な試行錯誤ができなかったりするので、それは結構、長期化しやすいなと思います。
周りの目がすごく気になる方は気になると思うので、ここは大事なポイントですね。
「学校がある時間は一切外に出るな」とかですね。気持ちは、わからないでもないんですけれども。
| 長期化しやすい関わり(髙橋先生の話から) | なぜ長期化しやすいのか |
|---|---|
| 人に見られたくない・知られたくないと、子どもを家の中に隠す | 学校側のコンタクトや様子の確認も減っていくことがある |
| 祖父母世代などからの干渉で、「大丈夫」ということにしてしまう | 本人に必要なサポートや試行錯誤ができなくなる |
| 「学校がある時間は一切外に出るな」と外出を禁じる | 先生の挙げた例。「気持ちは、わからないでもない」とも |
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髙橋 紀子先生
公認心理師・臨床心理士
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親のメンタルを保つには、どうすればいい?
具体的に親のメンタルを保つためのアイデアとして、髙橋先生が挙げたのは、「『不登校でなくなったら始める』という考え方をしない」ことでした。
親御さんがメンタルを保っていくことが大事、というお話がありました。具体的に、メンタルを保つためにこんなことをすればいい、というアイデアがあれば教えていただけますか。
親御さんのやりたいことを、「子どもが不登校でなくなったら、これを始める」というような考え方をしないのが、一つ大事だと思います。
それがいつになるかわからないときは、ずっと我慢している状態になったり、あるいは「子どもがこの状況のせいで、私は楽しいことができない」となると、それは恨みや怒りになるので。
まずは、子どもが不登校であろうとなかろうと、できる幸せや喜びは、実現できる分は実現したほうがいいなと思います。
不登校の子の親御さんへ、髙橋先生からのメッセージ
最後に、何年も不登校が続いていて、ちゃんと進学したり働いたりできるのだろうかと不安になっている親御さんへ、髙橋先生にメッセージをいただきました。
まず、親御さんの心身のご負担が一番気になります。そこのところのケアを、まず一番目に考えていただけるといいなと思います。
それから、家族の中だけで解決しようとすると、どうしても難しくなることが多いと思うので、ぜひ相談機関の利用を考えていただけるといいなと思います。
ご本人が行かなくても相談できることが多いですし、それができるかどうかを事前に電話などで問い合わせていただいてもいいと思います。自分たちだけで考えないで、いろんな人と相談しながら取り組んでいけるといいんじゃないかなと思います。

不登校が長引くほど、親は「自分のことは後回し」になりがちです。でも、親が倒れないこと、親が親の人生を楽しむことは、子どもに重すぎる責任を背負わせないための、大切な子育ての一部です。今日の晩ごはんを自分の好きなメニューにするくらいの小さなことから、始めてみてください。
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