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不登校が長期化する原因と対応は?立て直し方を公認心理師が解説

公開

お話を伺った専門家:はやし ゆか先生(公認心理師)

取材・構成:不登校ミーツ編集部

この記事の要点

  • 今はインターネットがあれば家で退屈しにくく、ストレスなく過ごせる。家の快適な場所から出たくない子にとって、長期化しやすい環境が整っている(公認心理師・はやし ゆか先生)。
  • 人は元気になると刺激を求める。ゲームやネットに飽きた、ネットでつながった人に会ってみたい──そんな気持ちから外に出たり、友だちに連絡したりし始めることが多い。
  • 長期化に悩む親の最初の一歩は、親自身のメンタルケア。カウンセリングや親の会につながり、困ったときの相談窓口をつくっておく。親の不安やイライラは子どもに向きやすい。
  • できていないことを注意するより、できていることに注目する。「今の状態はずっと続くわけではない」と信じる言葉をかけ続ける。明るい家庭ほど、子どもの回復も早い傾向がある。

不登校になって、もう半年。1年。気づけば、何年もたっている。

最初は「少し休めば」と思っていたのに、出口が見えない。このまま、ずっと家から出られないのでは──。不登校が長引くほど、親の不安は大きくなります。

今回は、児童相談所などで約20年、子どもと家族の相談に携わってきた公認心理師のはやし ゆか先生に、不登校が長期化する原因と、立て直すために親ができることを伺いました。

Zoomで対談する不登校ミーツのかほと公認心理師のはやし ゆか先生
左:かほ(不登校ミーツ)/右:はやし ゆか先生

不登校が長期化する原因は?

はやし先生が挙げたのは、インターネットのある暮らしです。

かほ
かほ:

不登校が数か月、数年と長引いているご家庭も少なくないと思います。不登校が長期化してしまうのには、どんな原因があるのでしょうか。

はやし先生
はやし先生:

以前は、家で快適に過ごせるといっても、どうしても暇な時間ができてしまって、家だけでは退屈で外に向かう、ということがあったと思います。

でも今は、インターネット環境が整っていれば、暇だと思う時間も少ないですし、家の中にいればストレスがかかることなく生活できます。家の快適な場所から出たくない、という子にとって、長期化しやすい環境が整ってしまっているのかなと思います。

退屈しない家は、子どもにとって安心できる場所でもあります。ただ、その快適さが、外に向かうきっかけを遠ざけてしまうこともある。はやし先生は、デジタル機器との付き合い方は「子どもだけではうまくコントロールできないので、親のサポートが必要」とも話しています(詳しくは不登校でお風呂に入らない・生活リズムの乱れは?で)。

長期化した不登校が、回復に向かうきっかけは?

一方で、長く続いた不登校が動き出すときもあります。はやし先生は、そのきっかけを「刺激を求める気持ち」だと話します。

かほ
かほ:

先生はこれまで、長く不登校が続いた子どもたちもたくさん見てこられたと思います。長期化した不登校が解決に向かうときには、どんなきっかけが多いのでしょうか。

はやし先生
はやし先生:

人間はやはり、元気になってくると刺激を求める生き物なんだなと感じます。

ゲームやネットにも飽きてきた。ゲームやネットでつながった人に、リアルで会ってみたい。そう思うと、家の外に出てみたり、学校の友だちとちょっとコンタクトをとってみたり、ということが始まるのかなと思います。

同じ環境にいるのはもちろん安心できるんですけど、それだけだと人間は飽きてしまうところがあるので、新しい世界に少し踏み入れてみたい、という気持ちになるのかなと思います。

しっかり休んでエネルギーが戻ってくると、子どもは自分から「外」に目を向け始める。そのときに、親子の関係が良い状態であることが大切になります。

話すはやし ゆか先生
「人間は、元気になってくると刺激を求める生き物」

不登校が長引いたとき、親が最初にすることは?

はやし先生の答えは、意外にも子どもへの働きかけではなく、「親自身のメンタルケア」でした。

かほ
かほ:

今まさに不登校が長期化して悩んでいる親御さんは、最初の一歩として何をしたらいいでしょうか。

はやし先生
はやし先生:

親御さん自身のメンタルケアは、非常に重要だと思います。

カウンセリングにつながったり、同じような悩みを持つ親御さんの会に参加したりして、「自分だけではないんだ」と思えたり、困ったことがあったときに誰に相談すればいいのか、相談の窓口をきちんとつくっておかれると、安心して、落ち着いて対応できると思います。

長期戦だと、心も体も消耗していきます。その中で、いかに自分の精神状態を穏やかに保ったまま生活できるかを考えながら過ごされるのがいいのかなと思います。

かほ
かほ:

親御さんのメンタルが不安定になると、どんなことが起きやすいのでしょうか。

はやし先生
はやし先生:

どうしても、その不安やイライラは子どもに向きやすいと思います。そうすると、また親子関係が悪化したり、子どもの状態も不安定になったりすることが考えられるので、親御さん自身のメンタルケアは非常に重要だと思います。

長期化しているとき、親子関係はどう保つ?

はやし先生は、長期化した不登校でいちばん大事なのは親子関係だと話します。

はやし先生
はやし先生:

子どもにとって一番身近に関わる人が親御さんです。この関係がとても良いと、ほかの人間関係も広げていこう、という気持ちにもなっていくと思うので、親子関係がうまくいくことが一番大事かなと思います。

関係を良くするために、はやし先生がすすめるのは「できていることに注目する声かけ」です。

はやし先生
はやし先生:

人間だれしも、自分のできていないことを注意されるより、できているところに注目して褒めてもらったほうが、居心地のいい空間が生まれると思います。

たとえば「お風呂に入りなさい」「歯を磨きなさい」と、できていないところに注目させるより、「今日は昨日よりちょっと早く起きられたね」「食欲も結構いい感じだね、お腹すいた?」といった形で、子どもが前向きになれる言葉や、「ここにいていいんだ」と自信が持てるような言葉をかけるのは、非常に重要だと思います。

避けたい声かけはやし先生がすすめる声かけ
「お風呂に入りなさい」「歯を磨きなさい」(できていないことに注目)「今日は昨日よりちょっと早く起きられたね」(できていることに注目)
不安をそのままぶつける「あなたを信じている」「今の状態はずっと続くわけじゃない」

お風呂や身なりなど、生活の細かいことをどこまで言うかは、不登校でお風呂に入らない・生活リズムの乱れは?で詳しく伺っています。

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ゴールド

はやし ゆか先生

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先が見えないとき、親はどんな気持ちでいればいい?

部屋から出てこない状態が続くと、親もしんどくなり、つい不安をぶつけてしまうこともあります。はやし先生は、「言葉にすること」の大切さを話します。

はやし先生
はやし先生:

今の不登校の状態や、部屋から出てこない状態は、親御さんにとってもしんどいと思うので、不安をぶつけてしまうことはあると思います。

でも、その根底には「私はあなたのことを信じているから、今のこの状態はずっと続くわけではないよ」という、親御さん自身も前向きになれるような言葉を子どもにかけ続けることで、状況が好転していくこともあるのかなと思います。言葉にするのは大事だな、と常日頃から思っています。

かほ
かほ:

根拠がなくても、ある意味で楽観的でいることが大事なんですね。

はやし先生
はやし先生:

はい、非常に大事だと思います。それに、根拠はあると思います。

これまで本当にいろいろな親御さんを見てきましたが、いつも暗い状態で家の中がどんよりしているご家庭よりも、親御さん自身の健康度が高くて、明るく励ますようなご家庭のほうが、親御さんに引っ張られて、子どもの回復も早いなと感じます。

もちろん、無理に引っ張っていくということではありません。子どもの気持ちやエネルギーが満たされていくような、前向きな言葉がけが非常に重要なのかなと思います。

不登校の子の親御さんへ、はやし先生からのメッセージ

最後に、不登校が長引いて先が見えず、不安になっている親御さんへ、はやし先生にメッセージをいただきました。

はやし先生
はやし先生:

不登校の期間が長引いて、「いつになったら終わるんだろう」「長いトンネルの中にいるようだ」と感じる方は、とても多いと思います。でも、そのトンネルは必ずいつか抜けます。希望を持って、頼れる相談相手や機関を探してほしいと思います。

今日や昨日考えていたことがすべてで、「この問題が解決したら本当に晴れるのに」と思うことは、毎日のようにあると思います。でも、後から振り返って、「あのときはそう思っていたけど、そのとき頑張ってきたからうまくいった」と話してくださる親御さんも、たくさんいらっしゃいます。

今が最悪だと思っても、それがずっと続くわけではない。そのことを、心に留めておいていただきたいなと思います。

笑顔で話すはやし ゆか先生
「トンネルは必ずいつか抜けます」

不登校が長引くと、親は「何か手を打たなければ」と焦ります。でも、はやし先生の話から見えてくるのは、まず親自身が落ち着いて、親子の関係を守ることの大切さです。子どもは元気が戻れば、自分から外の世界に目を向け始めます。その日まで、相談できる人とつながりながら、できていることに目を向けていきましょう。

長期化した不登校から回復した家庭に共通することは、不登校の長期化、回復した家庭の3つの共通点でも別の先生に伺っています。

よくある質問

Q. 不登校が長期化しやすいのはなぜ?
A. はやし先生は、インターネット環境を理由のひとつに挙げています。以前は家にいると暇な時間ができ、退屈して外に向かうことがありましたが、今はネットがあれば暇だと感じる時間が少なく、家の中ならストレスなく過ごせます。家の快適な場所から出たくない子にとって、長期化しやすい環境が整っているそうです。
Q. 長期化した不登校が回復に向かうきっかけは?
A. はやし先生によると、人は元気になってくると刺激を求めるそうです。ゲームやネットに飽きてきた、ネットでつながった人にリアルで会ってみたいと思ったなどをきっかけに、家の外に出たり、学校の友だちに連絡したりし始めることが多いと話しています。
Q. 不登校が長引いて、親が最初にすることは?
A. 親自身のメンタルケアです。はやし先生は、カウンセリングや同じ悩みを持つ親の会につながり、困ったときに誰に相談するかの窓口をつくっておくと、落ち着いて対応できると話しています。親の不安やイライラは子どもに向きやすく、親子関係や子どもの状態が不安定になることがあるそうです。

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