
不登校の子にイライラしてしまう時は?対処法を公認心理師が解説
公開
お話を伺った専門家:はやし ゆか先生(公認心理師)
取材・構成:不登校ミーツ編集部
この記事の要点
- イライラするのは親としての力が足りないからではなく、頑張りすぎているから。強くなったときは「事実」と「自分の解釈」を分けて考えてみる(公認心理師・はやし ゆか先生)。
- 「8時に起きてこなかった」は事実、「怠けている」「将来が心配」は解釈。解釈なら、今は言わないでおく。ためこまず、子ども以外の誰かに吐き出す。限界ならその場を離れる。
- ぶつけてしまっても、1回の失敗で親子関係は壊れない。落ち着いたら「さっきは言いすぎてごめんね」と短く伝えれば十分。長い言い訳はいらない。失敗しても修復できる姿は、子どもの手本になる。
- 24時間一緒で息が詰まるときは、親と子のテリトリーを分ける。見守るとは、放っておくことではなく、頼れる安心を持ちながら干渉しすぎない距離感のこと。
昼過ぎに起きてきて、そのままゲーム。声をかけても生返事。
「このままでいいの?」という気持ちがこみあげて、つい強い口調になってしまう。そして、言ったあとで「またやってしまった」と落ち込む。不登校の子と一日中一緒にいると、こんな繰り返しに疲れてしまう親御さんは少なくありません。
今回は、公認心理師のはやし ゆか先生に、不登校の子にイライラしてしまうときの対処法と、ぶつけてしまった後のことを伺いました。

不登校の子にイライラしてしまうのは、親として失格?
はやし先生は、まずイライラする親の気持ちを、まっすぐ受け止めてくれました。
ずっと家にいる子どもを見て、ついイライラしてしまう。そんな自分にまた落ち込んでしまう、という声も多いです。こういうときは、どう対処すればいいでしょうか。
ずっと家にいらっしゃって、育児に家事にと忙しくしておられたら、そう感じるのは当然だと思います。
イライラしてしまうのは、親としての力が足りないからではなく、頑張りすぎておられるからかなと思います。
イライラが強いとき、どう考えればいい?
イライラが強くなったとき、はやし先生がすすめるのは「事実と、自分の解釈を分けて考える」ことです。
たとえば、「子どもが朝8時に起きてこなかった」というのは事実です。でも、「怠けている」「このままでは将来が心配だ」というのは、親御さんの解釈かもしれません。
その解釈を少し脇に置いて、「今は疲れていて、休む時間が必要なのかもしれない」と、少し見方を変えられるといいのかなと思います。
| 事実 | 親の解釈(かもしれないもの) | 見方を変えると |
|---|---|---|
| 朝8時に起きてこなかった | 怠けている/このままでは将来が心配 | 今は疲れていて、休む時間が必要なのかもしれない |
分けたあとは、どうすればいいのでしょうか。
これは事実なのか、それとも自分の考えや気持ち、解釈なのかを、自分の中で整理してみるといいと思います。もし自分の解釈なのであれば、「言いたい気持ちはあるけど、今は言わないでおこう」と考えられるといいかもしれません。
ただ、子どもにぶつけるのはやめておいたほうがいい、というだけで、ずっとためこむと親御さんがきっと疲れてしまいます。そういう気持ちは、子ども以外の誰かに吐き出していただくといいのかなと思います。
それでも、同じ空間で生活していれば限界を感じる場面もあります。
そういうときは、その場を離れて、子どもとは別の部屋で深呼吸したり、外に出たりするのもひとつかもしれません。トイレや台所に行って、自分ひとりの時間をつくられる方もいらっしゃいます。
子どもとの関係を守るためにも、一時的に距離を置くのは、とても大事なのかなと思います。

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イライラをぶつけてしまった後は、どうすればいい?
気をつけていても、ぶつけてしまうことはあります。そのあとで「ああ、やってしまった」と後悔に苦しむ方も多いはずです。
ぶつけてしまった後に落ち込む方は多いですが、たった1回の失敗で関係が壊れる、ということはないと思います。これまで、きっと長い親子関係の歴史があるので、その1回をすごく責める必要はないのかなと思います。一生懸命関わってこられたことも、子どもの中にちゃんと残っていると思います。
落ち着いたら、「さっきは言いすぎてごめんね」と短く伝えれば十分だと思います。理由を長々と説明したり、言い訳したり、子どもに許してもらおうとしたりしなくて大丈夫です。
理由を長々と説明したり、許してもらおうと頑張ったりしなくていいのは、なぜなのでしょうか。
そういうやりとりが生まれてくると、最初は「ごめんね」と思っていたのに、お互いにヒートアップして、またけんかになってしまうこともあるかなと思います。ごめんなさいと思っているなら、その一言を伝えるだけで十分なのかなと思います。
そして、もうひとつ大切なのが「自分を責めすぎないこと」です。
親御さんが自己嫌悪や自責の念で沈んでしまうと、子ども自身が「自分のせいでまた親を困らせた、苦しませた」と感じてしまうこともあるかもしれませんし、「人間って失敗したらダメなんだ」と思い込んでしまうかもしれません。
失敗したけど、すぐに修復できた。そういう親御さんの姿を見せることは、子どもにとっても今後のよいお手本になると思います。
人間関係には波があって、ぶつかるときもある。それでも修復すれば大丈夫、という経験自体が、子どものコミュニケーションの土台にもつながっていくんですね。
はい、そのとおりだと思います。
24時間一緒で息が詰まるとき、子どもとの距離はどうとる?
子どもが不登校になると、24時間ずっと一緒。親の逃げ場がなくなってしまうこともあります。
同じ家にいても、親のテリトリーと子どものテリトリーを意識して分けてみることは大事かなと思います。
親御さんは、自分の体調管理や日課、好きなことの時間をちゃんと持つ。子どもは、自分の部屋があるなら、そこでの休息や一日の過ごし方を自分で決める。お互いのテリトリーを侵さないイメージも大事なのかなと思います。家が広くない、なかなかそういう場所が持てない、というときも、気持ちの面でそう意識することが大事かなと思います。
それから、子どもがじっと部屋にいても、それはサボっているのではなく、安全な場所でエネルギーを回復している時間だと見てあげることも大事かもしれません。
気になって、何度も声をかけたり、様子を確かめたりしたくなる気持ちもわかります。でも、はやし先生はこう話します。
そうすると、子どもは「見張られている」と感じて、家の中でゆっくり休むことができにくくなるかもしれません。
見守るというのは、放っておくことではなく、必要なときはいつでも頼れるという安心を持ちながら、必要以上に干渉しない距離感のことだと思います。食事や挨拶といった最低限の関わりは続けながら、それ以外は少し手を離してみることも大事かもしれません。
そのためには、ご自分の趣味や興味のあることなど、ほかのところに目を向けて、意識的に子どものほうを見ないようにする時間も必要なのかなと思います。
小学校低学年など、子どもが親にべったりで「ずっと一緒にいて」と言われる場合もあります。
そういうときは、不安や心配な部分は受け止めつつ、「わかったよ。お母さん、ちょっと10分だけ外に行ってくるから、10分たったら絶対帰ってくるから、それまで家の中で過ごしててね」など、子どもが見通しを持てる形で、短い時間でも離れる時間をつくられるのも有効かもしれません。
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公認心理師
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子どもを家に置いて出かけるのは、悪いこと?
子どもを家に残して出かけることに、罪悪感を持つ親御さんもいます。
子どもに元気になってほしいなら、まず自分も元気になろうと思われるのがいいと思います。散歩に出かけたり、ジムに行ったりして体を動かすのは、とても気分転換になります。
また、親御さんが自分の生活を大事にしていることで、子ども自身も「自分のことで親に迷惑をかけていない、負担をかけていない」と安心できる場合もあるのかなと思います。
出かけるときは、「何時ごろ帰るね」「ご飯は冷蔵庫にあるから食べておいてね」と付け加えていただくといいと思います。罪悪感を持つことなく出かけられるのがいいのかなと思います。
| 場面 | はやし先生のすすめ |
|---|---|
| ずっと一緒で息が詰まる | 親と子のテリトリーを分ける。自分の日課・好きな時間を持つ |
| つい何度も様子を見に行く | 「見張られている」と感じさせない。食事・挨拶以外は少し手を離す |
| 「ずっと一緒にいて」と言われる | 「10分で戻るね」と見通しを伝えて、短い時間でも離れる |
| 出かけるのに罪悪感がある | 「何時に帰る」「ご飯は冷蔵庫に」と伝えて、罪悪感なく出かける |
不登校の子の親御さんへ、はやし先生からのメッセージ
最後に、ひとりで頑張りすぎている親御さんへ、はやし先生のメッセージです。
ここまで、本当によく頑張ってこられたと思います。不登校は決して、親御さんのせいではありません。
子どもが休んでいる時間は止まっているように見えるかもしれませんが、次に進むエネルギーをためている大事な時期です。そのときは、親御さんも頑張りすぎるのではなく、一緒に休む時間もとっていただけたらと思います。誰かに話す、頼れる人に頼る、休む。これは逃げではなく、子どもをサポートしていくのに必要なことだと思います。

イライラしてしまう自分を責める必要はありません。それだけ頑張っているということです。事実と解釈を分ける、離れる、短く謝る。そして、自分の時間を持つ。完璧な親でいようとするより、失敗しても立て直せる親でいることが、子どもにとってのいちばんのお手本になります。
よくある質問
- Q. 不登校の子にイライラをぶつけてしまった。どうすればいい?
- A. はやし先生は、たった1回の失敗で親子関係が壊れることはないと話しています。落ち着いたら「さっきは言いすぎてごめんね」と短く伝えれば十分で、理由を長々と説明したり、許してもらおうと頑張ったりしなくて大丈夫だそうです。やりとりが長くなると、またヒートアップしてけんかになりかねないためです。
- Q. 子どもを家に置いて出かけるのは、悪いこと?
- A. はやし先生は、子どもに元気になってほしいなら、まず親も元気になろうと思ってほしいと話しています。親が自分の生活を大事にしていると、子どもも「親に迷惑をかけていない」と安心できる場合があるそうです。出かけるときは「何時ごろ帰るね」「ご飯は冷蔵庫にあるよ」と伝えて、罪悪感を持たずに出かけてよいとのことです。
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はやし ゆか先生
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「どうしたらいい?」からで大丈夫です
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「小3息子の不登校、留守番を嫌がる時の関わり方は?」
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