
不登校のその後はどうなる? 進路と回復のきっかけを、20年以上不登校の相談に携わる公認心理師が解説
公開 不登校ミーツ編集部
この記事の要点
- 不登校のその後は本当に多様。比較的多いのは、中学校から高校に上がるときが転機になるケース。今は高校の選択肢が増え、自分に合った通い方を選べるきっかけになる(公認心理師・髙橋紀子先生)。
- 「通信制だから社会で通用しない」と感じたことは、髙橋先生の経験の範囲ではあまりない。いろいろな大人とのコミュニケーションに慣れ、年上の人との関わりが得意な人もいる。
- 回復のきっかけは、中高生では興味を持ったことを実際に試す・出かけるなど現実の中での行動、小学生ではクラス替えや親の理解、学習の調整などの環境調整が多い。
- 前とまったく同じ状態に戻ることを目標にするより、本人に合った現実的で安全・安心な環境に行くこともステップアップ。不登校は病気ではないので、ほぼみなさん回復する。
「このまま学校に行けなかったら、この子の将来はどうなるんだろう」
不登校が続くと、目の前の毎日のことだけでなく、その先の進路や仕事のことまで不安になってきます。ネットで「不登校 その後」と調べると、明るい話も、厳しい話も出てきます。
不登校を経験した子どもたちは、実際にはその後どうなっていくのでしょうか。
今回は、公認心理師の髙橋紀子先生に、不登校を経験した子のその後の進路と、回復のきっかけを伺いました。

不登校を経験した子は、その後どうなる?
髙橋先生の答えは「本当に多様」。そのうえで、中学校から高校に上がるときが転機になる人が比較的多いと話します。
髙橋先生は20年以上、不登校のお子さんを見てこられたと思います。不登校を経験したお子さんたちは、その後どんな回復の過程をたどって、どんな進路に行き着くことが多いのでしょうか。
本当に多様なんですけれども、比較的、中学校から高校になるときが転機になる方が多いなと思います。
小学校や中学校は、どうしても同じ年齢の人とずっと一緒にいなければいけない環境であることが多いんですが、高校は今、かなり選択肢が増えています。自分に合ったライフスタイル、学校への通い方を、そこで選べるきっかけになる方もいらっしゃいます。
そこでも難しかった方の中にも、社会人になって立派に仕事をしていたり、ご家族を持ったりしている方たちもいらっしゃいます。
以前と比べて大きく変わったのは、高校の選択肢です。
以前とだいぶ違うのは、今は通信制であったりとか、いろんな選択肢が広がっていることです。
それに、「普通高校だから行く」というだけではなくて、自分がやりたいことがあるから、自分に合う学校を選ぶという考え方が、かなり主流になってきています。そういう意味では、自分に合ったライフスタイルを過ごそうと考えやすくなっているところが、昔に比べるとだいぶ良くなったところだなと感じます。

通信制高校に進むと、社会で通用しない?
ネットには「通信制高校は負荷が低いから、社会に出てからやっていけない」という声もあります。髙橋先生は「人による。通信制だから、と感じたことは私の経験の範囲ではあまりない」と答えます。
一部のネットの声として、通信制高校は一般的な高校と比べて負荷が低いから、そういうところに通っても社会では通用しない、一般的なハードな仕事はできない、という声もあると思います。実際のところはどう思われますか?
人によると思いますね。「通信だから」というふうに感じたことは、私の経験の範囲ではあまりないです。
大人との付き合い方という意味では、それまでは親くらいしかいなかったものが、通信制の先生たちはいろんなスタンスでコミュニケーションを取ってきたりするので、逆に年上の人に対する態度やコミュニケーションの取り方が得意な人も多いくらいです。
それぞれ特色がある分、一長一短だと思いますし、合う・合わないの世界かなと思います。
進路を決めるときに親がどう関わればいいかは、不登校の子の進路、親はどう関わる?で詳しく伺っています。
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回復のきっかけになるのは、どんなこと?
高校進学のほかにも、回復のきっかけはあります。髙橋先生によると、中学生から高校生くらいでは「現実の中で行動を起こしたこと」、小学生では「環境調整」がきっかけになることが多いそうです。
子どもたちが社会に戻っていくきっかけとして、中学から高校に上がるときが多いというお話がありました。そのほかには、どんなタイミングが多いですか?
それまでの溜めがあって、ということではあるんですけど、最近よく聞くのは、たとえばYouTubeなどの動画で関心を持ったことを、実際に試してみた、出かけてみたというふうに、現実の中で行動を起こしていったことがきっかけになったり、そこが新しいつながりや居場所になったりすることです。これは、中学生から高校生くらいのときが多いかなと思います。
小学生の場合は、クラス替えなどの環境の変化、親の理解、学習の調整など、どちらかというと環境調整のところで本人が元気になることが多いなと思います。
| 年代 | 回復のきっかけになりやすいこと(髙橋先生の話から) |
|---|---|
| 小学生 | クラス替えなどの環境の変化/親の理解/学習の調整 など、環境調整 |
| 中学生〜高校生 | 動画などで関心を持ったことを試す・出かけるなど、現実の中で行動を起こすこと。そこが新しいつながりや居場所になることも |
| 中学校→高校 | 進学で、自分に合った通い方を選べること |
親から見ると、ある日突然元気になったように見えることもあります。でも髙橋先生は、本人の中ではずっと前から考えたり調べたりしていた、ということが多いと話します。回復までの時間や過程については、不登校はいつまで続く?で詳しく伺っています。

元の学校に戻れる? 復学を目標にしていい?
かほが「休んだだけで戻れるようになるというより、調整をしたり、環境を変えたりして戻っていくイメージですか」と聞くと、髙橋先生は「そう思います」と答えたうえで、前とまったく同じ状態に戻ることだけが目標ではないと話してくれました。
たとえば、そのクラスの3分の1が不登校だという場合は、本人に理由があるかもしれないけれど、それ以外にも理由があるかもしれない。そうなると、その同じ環境に戻ることが、本人にとって安全なことなのか、というところも出てきます。
前とまったく同じようになることを目標にするよりは、本人に合った、現実的で安全で安心な環境に行くことも、ステップアップかなと思います。
世の中のサービスを見ていると、復学を望む親御さんはすごく多いんだなと感じます。元いた学校に戻れる可能性は、実際どのくらいあるものなんでしょうか。
これは、その学校や先生によって実はかなり違うと思うので、子ども側の理由で決まるパーセンテージではないかなと思います。
ただ、不登校は病気ではないので、そういう意味では、ほぼみなさん回復します。
なんとかなる、ということですね。
生きていてくれれば、子どもは元気になって回復していきますので。
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髙橋 紀子先生
公認心理師・臨床心理士
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回復していく子に共通していることは?
自己肯定感、レジリエンス……回復のために大切だと言われることはたくさんあります。髙橋先生がこれまで見てきた中でのキーポイントは、「自分で考えて、自分で行動する」ことの繰り返しでした。
自分で考えて、自分で行動する。それを繰り返して元気になっていく人が多いなと思います。
それは不登校がダメだったという話ではなくて、不登校という選択をすることができた人だからです。本人も望んでいなかったかもしれないけれど、今学校には行けないと思って、その行動を取れている。それは何かしらの強みにつながっている可能性もあるので、自分で考えて、判断して、行動する。そのサイクルを繰り返していけると、元気になっていくと思います。
最初は「今日はパンがいい? ご飯がいい?」くらいの小さな選択から。具体的な例は、不登校はいつまで続く?で紹介しています。
不登校の子の親御さんへ、髙橋先生からのメッセージ
その後の話を伺う中で、髙橋先生が何度も口にしたのは、親御さん自身が元気でいることの大切さでした。
どちらかというと、親御さんのほうが、長期化するととってもヘトヘトになるところがあるので、保護者の方が元気でいることがとても大事だなと感じます。
子どものほうは回復力もすごくあるし、エネルギーもとってもあるんですけれども、それと大人が向き合っていると、大人は大人のエネルギーしかないですし、お仕事もしていたりするので、大人のほうが倒れちゃったり、お仕事が難しくなったりということもあります。
ですから、長期化していくかもな、というときは、親御さんのメンタルヘルスをすごく大切にしていったほうがいいなと思います。
それから、家族の中だけで解決しようとすると、どうしても難しくなることが多いと思うので、ぜひ相談機関の利用を考えていただけるといいなと思います。自分たちだけで考えないで、いろんな人と相談しながら取り組んでいけるといいんじゃないかなと思います。

不登校の「その後」は、一人ひとり違います。高校で自分に合った通い方を見つける子もいれば、もっと後になって自分の道を見つける子もいます。今は先が見えなくても、子どもには回復する力がある。そのことを信じながら、まずは親御さん自身が倒れないことを大切にしてください。
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