本文へ移動
不登校ミーツ

子どもがゲーム・スマホのルールを守らないときは? 不登校の子との話し合い方と、約束を破られたときの考え方を公認心理師が解説

公開  不登校ミーツ編集部

この記事の要点

  • ルールが守れなかった・破られたときは、「そのルールが合っていなかった」と考える。「嘘をついた」「約束を守らなかった」と責めると、子どもは自分を責めたり、自暴自棄になったりする(公認心理師・髙橋紀子先生)。
  • そもそもルールは、かいくぐられるもの。すっとうまくいかないことも込みで考える。小学生のうちは、それを前提に親が主導権を持っておく。
  • 守れるルールにするには、いきなり時間を決めず、どのくらい・何をしているか、ほかの選択肢があるかを把握してから、親子で一緒に決める。
  • ゲームのことを話すときは、正面から向き合わず、ソファに横並びで座るなどラフな状況で。心配を伝えるときは「私は気になっている」と自分を主語にして、大切に思っていることも一緒に伝える。

「ゲームは1日○時間まで」「夜○時以降はスマホを使わない」

子どもと一緒に決めたはずのルールが、いつの間にか守られなくなっている。「約束でしょ」と声をかけると、反発されたり、言い合いになったりする。不登校で家にいる時間が長いと、こうしたやりとりが毎日のように続くこともあります。

今回は、公認心理師の髙橋紀子先生に、子どもがゲームやスマホのルールを守らないときの考え方と、親子での話し合い方を伺いました。

対談する不登校ミーツのかほと公認心理師の髙橋紀子先生
左:かほ(不登校ミーツ)/右:髙橋紀子先生

ゲーム・スマホのルールを守らないとき、親はどうすればいい?

髙橋先生の答えは、「ルールが守れなかったり、破られたりしたときは、そのルールが適切ではなかったと思ったほうがいい」でした。

かほ
かほ:

一緒にルールや約束を決めたとして、それが後々破られてしまったり、「守ろうよ」と声をかけると癇癪を起こしてしまったりする場合、親御さんはどう対応したらいいでしょうか。

髙橋先生
髙橋先生:

ルールが守れなかったり、破られたりしたときは、そのルールが適切ではなかったと思ったほうがいいと思います。

よくあるのが、「嘘をついた」「約束を守らなかった」と責めてしまったり、「信頼関係が傷ついた」というような言い方をしてしまったりすることなんですけれども。

髙橋先生
髙橋先生:

それを言ってしまうと、子どもの側は、すごく自分を責めたり、自暴自棄になったり、「どうでもいいや」という気持ちになってしまうので、「ルールがちょっと合っていなかったな」と思ったらいいと思います。

基本、ルールって、そんなにすっといかないものなんです。

かほ
かほ:

そうですよね。

髙橋先生
髙橋先生:

はい。なので、それも込みで考えていけたらと思います。

ルールが破られたとき子どもに起きやすいこと
✕「嘘をついた」「約束を守らなかった」と責める自分を責める、自暴自棄になる、「どうでもいいや」となる
✕「信頼関係が傷ついた」と伝える同上
○「このルールは合っていなかったな」と考え直すルールを一緒に作り直せる
話す髙橋紀子先生
「ルールが適切ではなかったと思ったほうがいい」と髙橋先生

そもそも、ルールは守られないもの?

髙橋先生は、ルールについて「かいくぐって使ってしまうことを前提に」と話していました。

髙橋先生
髙橋先生:

どんなルールも、かいくぐって使ってしまう、ということを前提にして、ルールを決めておく、制限をかけておく。そうやって親の側が主導権を持っておくのが、小学生のうちは特に重要だろうなと思います。

かほ
かほ:

かいくぐっていくのは前提なんですね。

髙橋先生
髙橋先生:

それは、そういうものだと思います。だからといって、最初から本人に任せておくというのは、危険だなという印象を持ちます。

つまり、「ルールを決めたのに破られた」は、親の失敗でも、子どもの裏切りでもなく、よくあること。破られたら責めるのではなく、ルールの側を見直していけばいい、ということです。

中学生・高校生の場合は、年齢で一律に自由にするのではなく、話し合いながら段階的に任せていくのが髙橋先生の考えです。年齢ごとの管理の考え方は、不登校の子のゲーム・スマホは制限するべき?で詳しく伺っています。

守れるルールにするには、何から始める?

髙橋先生がカウンセリングでまずするのは、時間の目安を決めることではなく、「把握」です。

髙橋先生
髙橋先生:

カウンセリングの中では、最初に目安を設定するよりも、把握から始めることが多いんです。

ゲームをどのくらいの時間やっているか、意外と親御さんが把握していないことのほうが多いんです。「そればっかりやってる」と言われることが多いんですが、ご本人に聞くと、それ以外に何をしていいかわからないということもあったりします。

髙橋先生
髙橋先生:

ですから、いきなり時間で制限をするよりは、どのくらいそれをしているのか、それ以外のときに、漫画などほかのホビーが選択肢としてある状況なのか、ない状況なのか。そういう把握のところを丁寧にしたうえで設定していったほうが、現実的な制限になるだろうなと思います。

かほ
かほ:

まずは、どんなふうに使っていて、誰とどんなイベントをしているのかを把握するところから始めて、それをベースに親子で一緒にルールを考え、管理の仕方を少しずつ決めていく、ということですね。

髙橋先生
髙橋先生:

そうですね。あとは、お父さんがゲーム好きで、休みの日はずっとゲームをしている、ということもあります。家族の中に、不登校のお子さん以外にゲームがすごく好きな人がいるときは、そこもまとめての話し合いが必要になってくると思います。

ゲームのことを話すとき、どう切り出せばいい?

話し合いの前に気をつけたいのが、最初の声かけです。髙橋先生は、子どもたちから「親が最初から怒っている」という声をよく聞くといいます。

髙橋先生
髙橋先生:

親御さんからすると、最初から怒ったわけではないとしても、ゲームをしている側からすると、急に大きな声で怒られる。「いつまでやってるの」「何やってるの」と、責めるところからスタートされると、心は開いてくれないというのがあるなと思います。

かほ
かほ:

本音で話し合える関係になるための、話の聞き方のコツはありますか。

髙橋先生
髙橋先生:

すごく小手先の話に聞こえるかもしれませんが、そういうときは、あまり向き合って話さないほうがいいなと思います。

一緒に散歩しながら、と言うと極端かもしれませんけれども、「対面で座って、お話をしてください」という感じにすると、緊張を与えてしまうので。子どもの場合は特に。

髙橋先生
髙橋先生:

なので、ソファに横に座るとか。あまり正面からガッツリ、家族会議のような感じで話さないのが、コツかなと思います。

かほ
かほ:

比較的ラフな状況で、聞いていくのが大事なんですね。

この記事でお話を伺った先生に、
直接相談できます

ゴールド

髙橋 紀子先生

公認心理師・臨床心理士

学校に行けない日々を、一緒に考えます

髙橋紀子先生のプロフィールと空きを見る

心配を伝えるときは、どんな言い方が伝わる?

「ルールを一緒に考えたい」「やりすぎが心配」──親から伝えたいことがあるときは、「私」を主語にして伝えるのがポイントです。

かほ
かほ:

こちらから伝えたいことがあるとき、たとえば「ゲームのルールを一緒に考えたい」「心配している」ということを伝えたいときに、どんなふうに伝えると伝わりやすいでしょうか。

髙橋先生
髙橋先生:

「あなたがどうだから、何々しなさい」というような、相手を主語にすると、責めているような感じになりやすいんです。

なので、「私が今、気になっている」「体調を悪くしちゃうんじゃないかと、私は気になっている」というふうに、親御さんを主語にして、短くでも意図を伝えるのは、一つ大切なことかなと思います。

髙橋先生
髙橋先生:

それから、「心配している」となると、「迷惑をかけている」と受け止めてしまう子どもも結構多いので、「あなたはとても大切な存在だから」「とても大好きだから」。そういう大事な人だから、放っておけないということが伝わるといいなと思います。

かほ
かほ:

アサーションの「Iメッセージ」ですね。私はこう感じる、と自分を主語にして話すことと、愛情や大切に思う気持ちをしっかり伝えること。その2点が大事なんですね。

伝わりにくい言い方伝わりやすい言い方(髙橋先生の話から)
主語「(あなたは)いつまでやってるの、やめなさい」「(私は)体調を崩さないか気になっている」
心配の伝え方「心配させないで」「大切な存在だから、放っておけない」

「Iメッセージ」は、自分の気持ちを相手を責めずに伝えるコミュニケーションの方法(アサーション)でよく使われる考え方です。

話す公認心理師の髙橋紀子先生
「迷惑をかけている」と受け止めてしまう子も多い、と髙橋先生

不登校の子の親御さんへ、髙橋先生からのメッセージ

最後に、学校にも行かず、一日中ゲームやスマホで「本当に大丈夫かな」と不安になっている親御さんへ、髙橋先生にメッセージをいただきました。

髙橋先生
髙橋先生:

まず、「デジタル依存かもしれない」と思って、親御さんが不安を感じられていることが、すごく大切なことです。そうなっていることに気づいていない、何年も気づかなかった、ということもかなりあると思います。

すぐに解決することは難しくても、解決できるものなので、そういうときは、親御さんだけでも相談につながっていただけたらなと思います。

笑顔で話す髙橋紀子先生
「すぐに解決は難しくても、解決できるもの」

ルールを破られると、裏切られたような気持ちになるかもしれません。でも、ルールはそもそも、すっとはうまくいかないもの。守れなかったら、責めるのではなく「合っていなかったね」と作り直せばいいのです。横に座って、責めずに聞いて、「大切だから気になる」と伝える。そのくり返しの中で、お子さんに合ったルールが少しずつ見つかっていきます。

この記事でお話を伺った先生に、
直接相談できます

ゴールド

髙橋 紀子先生

公認心理師・臨床心理士

学校に行けない日々を、一緒に考えます

髙橋紀子先生のプロフィールと空きを見る

不登校の悩み、
専門家に相談してみませんか?

みんなの相談

•••こんな相談に回答しています

Q

「不登校の中2息子、ゲームの時間制限がまったく守られません。取り上げるべきでしょうか」

ゴールド

山岸佳織先生 の回答

ご相談ありがとうございます。 「ゲームの話しかできない」と感じておられるとのことですが、私はむしろ、「ゲームの話ならでき…

不登校ミーツのほかのカウンセラーを見る →

あわせて読みたい