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不登校ミーツ

不登校の子のゲーム・スマホは制限するべき? 把握から始めるルール作りを公認心理師が解説

公開  不登校ミーツ編集部

この記事の要点

  • ゲームやスマホは、制限より先に「どのくらい・何を・誰と」しているかを親が把握することから。依存だけでなく、課金やネットで知らない人と会おうとするなどのトラブルを防ぐためでもある(公認心理師・髙橋紀子先生)。
  • 把握は管理のためだけではない。その子が何に関心を持ち、何でエネルギーを貯めているかを知る、回復の手がかりになる。不登校の子にとって、ゲームが友達とつながる手段になっていることもある。
  • 小学生のうちは、ルールはかいくぐられる前提で、親が主導権を持っておく。中学生・高校生は年齢で一律に決めず、把握したうえで話し合い、お金の管理のように段階的に任せていく。
  • 時間で制限するなら、いきなり目安を決めるより、どのくらいしているか、ほかに選択肢があるかを丁寧に把握してから決めたほうが現実的なルールになる。

学校を休むようになってから、ゲームやスマホの時間がどんどん増えている。

「このままデジタル依存になって、不登校が長引いてしまうのでは」「学校に行っていないんだから、ゲームくらいは見守るべき?」「それとも、学校に行っていたときと同じように制限するべき?」──不登校の子のゲームやスマホは、多くの親御さんが迷うテーマです。

今回は、公認心理師の髙橋紀子先生に、不登校の子のゲーム・スマホとの付き合い方と、制限の考え方を伺いました。

対談する不登校ミーツのかほと公認心理師の髙橋紀子先生
左:かほ(不登校ミーツ)/右:髙橋紀子先生

不登校の子のゲーム・スマホは、制限するべき?

髙橋先生の答えは、「制限するかどうかの前に、少なくとも、どのくらい利用しているかを親が把握しておくこと」でした。

かほ
かほ:

不登校のご相談を受けていると、ゲームやスマホを心配されている親御さんがすごく多いです。学校を休んでいる間にデジタル依存になって、そのまま不登校が長引いてしまうのでは、という心配をよく聞きます。ゲームやスマホは、親がある程度制限したほうがいいのでしょうか。

髙橋先生
髙橋先生:

特に小学生の場合ですが、少なくとも、どのくらい利用しているかは、保護者が把握していたほうがいいと思います。

それは依存のリスクだけではなくて、どこでどうつながっているのかを親が把握しきれていないと、わからないことやトラブルが起きることがあるからです。

髙橋先生
髙橋先生:

ゲーム依存ももちろんありますし、あとは課金であったり、インターネット上で知らない人とやりとりをしていて、会おうとするなど。そういったリスクがあるというイメージです。

何かあってから把握するよりは、事前に知っていたほうが安全だなと思います。

髙橋先生の話をもとに、年齢ごとの考え方をまとめると次のようになります。

髙橋先生の話のポイント
共通まず「どのくらい・何を・誰と」しているかを把握する。ゲームそのものではなく、使い方の問題
小学生ゲーム以外のネットやサイトも含めて、親が知っておく。ルールはかいくぐられる前提で、親が主導権を持つ
中学生・高校生年齢で一律に決めない。把握したうえで話し合い、段階的に任せていく
不登校中傷ついている子には、ゲームが自信を取り戻す場になることも。そこまでではなければ、学校の時間・学校がない時間で制限を分けるのが標準的
話す髙橋紀子先生
「少なくとも、どのくらい利用しているかは把握を」と髙橋先生

なぜ「何をしているか」を把握することが大事なの?

把握は、トラブルを防ぐためだけではありません。髙橋先生は、その子が何に関心を持ち、何でエネルギーを貯めているのかを知る、回復の手がかりになると話します。

髙橋先生
髙橋先生:

ゲームそのものが悪いわけでは決してなくて、ゲームの使い方というところに問題があるんです。

よくあるのが、「いつもゲームばっかりやってるんです」というときに、「どんなゲームをやってるんですか」とお聞きすると、「何をやってるかわからないです」となることです。

かほ
かほ:

どんなゲームをしていて、どんな人と遊んでいて、夜にはこんなイベントがあるみたいで……というところまで把握しておくと、どんないいことがあるんでしょうか。

髙橋先生
髙橋先生:

その子が何にエネルギーを貯めることができるかとか、何に関心を持っているかとか、そういった心の状態や関心を知ることができると思います。

特に不登校の場合は、ゲームでのつながりが、友達とつながる手段であったりすることもあるので、そのあたりの事情や使い方を把握することはすごく大事だなと思います。

かほ
かほ:

把握しておくことは、管理のためというより、回復の手がかりを得るために役に立つ、ということですね。

ゲームのイベントや、仲間との集合時間が深夜にあって夜型になっているケースについては、不登校の昼夜逆転は放っておく?で詳しく伺っています。

小学生のゲーム・スマホは、どう管理する?

小学生のうちは、ルールはかいくぐられる前提で、親が主導権を持っておくことが大切だと、髙橋先生は話します。

髙橋先生
髙橋先生:

ゲームが特にですけれども、そうでなくても、ネットとかサイトとか、小学生の間は親が知っていたほうがいいだろうなと思います。

かほ
かほ:

管理という方向でいくと、時間を制限したり、親の許可がないと使えないようにしたり、という方法もあると思います。そういった対応はどう思われますか。

髙橋先生
髙橋先生:

どんなルールも、かいくぐって使ってしまう、ということを前提にして、ルールを決めておく、制限をかけておく。そうやって親の側が主導権を持っておくことが、小学生のうちは特に重要だろうなと思います。

かほ
かほ:

かいくぐっていくのは前提なんですね。

髙橋先生
髙橋先生:

それは、そういうものだと思います。だからといって、最初から本人に任せておくというのは、危険だなという印象を持ちます。

「ルールを破られたらどうするか」「どう話し合えば伝わるか」は、子どもがゲーム・スマホのルールを守らないときは?で詳しく伺っています。

中学生・高校生は、どこまで管理する?

中学生・高校生になると、年齢で一律には言えないというのが髙橋先生の考えです。把握したうえで話し合い、お金の管理のように段階的に任せていくイメージです。

髙橋先生
髙橋先生:

ここが本当に難しくなってくる部分です。年齢で一律には言えないというところと、発達のことや、生活環境も影響してくると思います。

いずれにしても、「もう中学生だから自由でいいよ」「高校生だから自由でいいよ」「ほかの子もそうだから、それでいいよ」というような制限のかけ方・管理の仕方だと、それぞれリスクが違うところがあります。

髙橋先生
髙橋先生:

ですから、ある程度把握したうえで、話し合いのもとで管理の仕方を決めていく。金銭管理に近いもので、お金の使い方を学んでほしいけれど、ある程度は管理する、というような、段階的なものが必要になるんじゃないかなと思います。

ただし、中高生でも「親が全部チェックする」のが正解とは限りません。髙橋先生は、例外として次のような話もしていました。

髙橋先生
髙橋先生:

たとえば性的なものへの関心など、親とは共有したくないコンテンツはあるだろうなと思います。それが違法性のないものであれば、閲覧履歴などを全部親がチェックするのは、しんどいだろうなと感じます。

かほ
かほ:

中学生・高校生になると、把握や干渉の度合いは、お子さんに合わせて調整していくのがいいんですね。

髙橋先生
髙橋先生:

そうだと思います。あとは、発達の特性があったり、そういった情報への引っ張られやすさや、集中しやすさといった傾向があったりする場合は、高校生など上の年齢になったとしても、安全管理として把握していたほうが安全な場合もありますね。

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ゴールド

髙橋 紀子先生

公認心理師・臨床心理士

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不登校中は、学校に行っていたときと同じように制限する?

「学校に行っていないんだから、スマホくらいないと時間を持て余す」と見守るか、学校に行っていたときと同じように制限するか。髙橋先生は「本当に難しいところ」と前置きしたうえで、こう答えてくれました。

かほ
かほ:

不登校になっている間に、ゲームやスマホの利用が増えた場合、「今は学校に行っていないんだから」と見守るのがいいのか、学校に行っていたときと同じように制限していくのがいいのか。どう考えたらいいでしょうか。

髙橋先生
髙橋先生:

ゲームの種類にもよりますが、ゲームと現実の大きく違うところの一つとして、時間さえかければレベルが上がる、という世界があります。それは、傷ついている子どもにとって、すごくわかりやすい世界ですし、そこで自信を獲得する、というところは少なからずあると思います。

なので、自信をすごくなくしていたり、人とのコミュニケーションがとてもできない状況のときに、ひたすらゲームをして、昨日より今日のほうが成績がいい、レベルが上がった、というものが必要になることもあります。

髙橋先生
髙橋先生:

ただ、全部がそういうわけではないので、そこまでではない場合は、基本的には学校の時間はこのくらいの制限、学校がない時間はこのくらいの制限、とするのがスタンダードなやり方かもしれないです。

制限する時間の目安はある?

時間の目安を聞くと、髙橋先生の答えはここでも「把握から」でした。

髙橋先生
髙橋先生:

カウンセリングの中では、最初に目安を設定するよりも、把握から始めることが多いんです。

ゲームをどのくらいの時間やっているか、意外と親御さんが把握していないことのほうが多くて、「そればっかりやってる」という言い方をされることが多いんですが、ご本人に聞くと、それ以外に何をしていいかわからないということもあったりします。

髙橋先生
髙橋先生:

ですから、いきなり時間で制限をするよりは、どのくらいそれをしているのか、それ以外のときに、漫画などほかのホビーが選択肢としてある状況なのか、ない状況なのか。そういう把握のところを丁寧にしたうえで設定していったほうが、現実的な制限になるだろうなと思います。

家族にゲーム好きがいるときは?

もう一つ、髙橋先生が「ここ5、6年で増えた」と話すのが、家族のゲームの影響です。

髙橋先生
髙橋先生:

お父さんがゲームが好きで、休みの日はずっとゲームをしている状態だと、子どもにゲームをさせないわけにはいかない、ということもあります。

そうなると、家族の風土のようなものも影響してきますし、不登校のお子さん以外にゲームがすごく好きな人がいるときは、そこもまとめての話し合いが必要になってくると思います。

かほ
かほ:

大好きなお友達とゲームをしているときだけ本当にイキイキしている、というパターンもあって、ゲームを取り上げてしまうと、この子の楽しみがなくなってしまうから、と悩まれる方もいらっしゃいます。

取り上げることについての髙橋先生の考えは、不登校の子からゲーム・スマホを取り上げると逆効果?で詳しく伺っています。

話す公認心理師の髙橋紀子先生
「親御さんが不安を感じられていることが、すごく大切」と髙橋先生

不登校の子の親御さんへ、髙橋先生からのメッセージ

最後に、学校にも行かず、一日中ゲームやスマホで「本当に大丈夫かな」と不安になっている親御さんへ、髙橋先生にメッセージをいただきました。

髙橋先生
髙橋先生:

まず、「デジタル依存かもしれない」と思って、親御さんが不安を感じられていることが、すごく大切なことです。そうなっていることに気づいていない、何年も気づかなかった、ということもかなりあると思います。

すぐに解決することは難しくても、解決できるものなので、そういうときは、親御さんだけでも相談につながっていただけたらなと思います。

笑顔で話す髙橋紀子先生
「解決できるものなので」

ゲームやスマホを「やめさせるか、見守るか」の二択で考えると、どちらを選んでも不安が残ります。まずは、お子さんが何を、誰と、どのくらいしているのかを知るところから。そこにはきっと、お子さんの関心や、今エネルギーを貯めているものが見えてきます。そのうえで、年齢やお子さんの状態に合わせて、ルールを一緒に決めていきましょう。

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ゴールド

髙橋 紀子先生

公認心理師・臨床心理士

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Q

「不登校の中2息子、ゲームの時間制限がまったく守られません。取り上げるべきでしょうか」

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山岸佳織先生 の回答

ご相談ありがとうございます。 「ゲームの話しかできない」と感じておられるとのことですが、私はむしろ、「ゲームの話ならでき…

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