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不登校の赤ちゃん返り、どこまで応じる?公認心理師が解説

公開

お話を伺った専門家:はやし ゆか先生(公認心理師)

取材・構成:不登校ミーツ編集部

この記事の要点

  • 甘えたい気持ちそのものは否定しなくていい。不登校の子は不安が強く、「ここは安心できるか」を確かめたくて、赤ちゃん返りのような行動が出ることがある(公認心理師・はやし ゆか先生)。
  • ただし、すべてに応える必要はない。とくに異性の子の場合、親が生理的に対応できない要求ははっきり断る。性の境界線は、お互いを守るうえで非常に大切。
  • 境界線を引きたい場面の例:一緒に寝る・同じ布団に入る、一緒にお風呂、着替えや身支度の手伝い、膝に乗るなど必要以上の身体接触。年齢が上がるほど大事。親が「嫌だな」と感じる感覚を大切に。
  • 断るときは「あなたのことは大事」と「それはできない」を分けて伝え、話を聞く、一緒に食事やお手伝いをするなど、無理のない別の甘え方を提案する。

中学生になったのに、「一緒に寝たい」と布団に入ってくる。家の中で、ずっと後をついてくる。「ご飯食べさせて」「着替えさせて」と、小さな子のように甘えてくる。

不登校の子どもに、こんな「赤ちゃん返り」のような様子が見られることがあります。甘えさせてあげたい気持ちと、「この年齢でこれは……」という戸惑い。どこまで応じればいいのでしょうか。

今回は、公認心理師のはやし ゆか先生に、不登校の子の赤ちゃん返りや甘えに、どこまで応じるかを伺いました。

Zoomで対談する不登校ミーツのかほと公認心理師のはやし ゆか先生
左:かほ(不登校ミーツ)/右:はやし ゆか先生

不登校の子が赤ちゃん返りするのはなぜ?

かほ
かほ:

親にべったり甘えてきたり、赤ちゃん返りのような行動をしたりする子もいると思います。中学生なのに一緒に寝たがる、家の中で後をずっとついてくる、ご飯を食べさせて、着替えさせてと小さい子のように甘えてくる。これは、どこまで応じてあげていいのでしょうか。

はやし先生
はやし先生:

甘えたい気持ちそのものは、否定しなくていいと思います。

不登校の子は不安が強くて、「ここは安心できるかどうか」を確かめたくて、赤ちゃん返りのような行動が出ることはあると思います。

甘えには、どこまで応じればいい?

はやし先生は、甘えたい気持ちは受け止めつつ、「すべてに応える必要はない」と話します。

はやし先生
はやし先生:

ただし、すべてに応える必要はないと思います。とくに異性の子がいる場合、お母さんが生理的に対応できない要求については、はっきり断ることが必要だと思います。性の境界線は、お互いを守るうえで非常に大切です。

境界線をはっきりさせたい場面としては、たとえば一緒に寝る、同じ布団に入る、一緒にお風呂に入る、着替えや身支度を手伝う、膝の上に乗るなどの必要以上の身体的な接触があると思います。子どもの年齢が上がるほど、たとえ子どもが甘えている気持ちであっても、境界線をきちんと引いてあげることは大事だと思います。

そして、はやし先生が強調したのが、親自身の感覚を大切にすることです。

はやし先生
はやし先生:

親御さん自身が「これは受け入れられない」「ちょっと嫌だな」と感じたら、その感覚は非常に大事なので、ご自身の感覚を大切にしていただくといいのかなと思います。

かほ
かほ:

「ここで断っていいのかな」「ひどい親かな」「甘えさせてあげないとダメかな」と思う方もいると思います。そんな中で、自分が嫌だと思う気持ちを大事にしてください、と言ってもらえると、すごく勇気をもらえますね。

話すはやし ゆか先生
「嫌だと感じる、その感覚はとても大事」

甘えを断るとき、どう声をかければいい?

断るときの声かけについて、はやし先生は具体例を挙げてくれました。

はやし先生
はやし先生:

「あなたのことはとても大事に思っているんだけど、一緒に寝るのはもうやめようね」「着替えは自分でやってね、ここで待ってるからね」「ハグは今日はここまでにするよ。話はいつでも聞くからね」といった声かけができるかなと思います。

断るだけでなく、別の形で甘えに応えることも大切です。

はやし先生
はやし先生:

甘え方には、親御さんが生理的に無理ではない方法もたくさんあると思います。「今日どうだった?」と話を聞いてあげる時間を一緒につくる、食事を一緒にとる、お手伝いを一緒にする、寝る前に少し部屋でお話ししてから「おやすみ」と言って別々に寝る、など。

親御さんが無理のない、生理的に無理だと感じない程度で、甘えに応じてあげるのが大事かなと思います。

断りたい甘え声かけ例代わりにできる関わり
一緒に寝たがる「大事に思っているけど、一緒に寝るのはもうやめようね」寝る前に少し部屋でお話ししてから「おやすみ」
着替えさせて「着替えは自分でやってね、ここで待ってるからね」そばで待つ
ずっとくっついていたい「ハグは今日はここまで。話はいつでも聞くからね」「今日どうだった?」と話を聞く時間、一緒に食事・お手伝い

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ゴールド

はやし ゆか先生

公認心理師

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境界線を引くとき、親が気をつけることは?

はやし先生は、まとめとして次のポイントを挙げてくれました。

はやし先生
はやし先生:

「あなたのことを大事に思っているよ」ということと、「これはできないよ」ということは、分けてきちんと伝えてあげることが大事だと思います。そのときは感情的に叱らず、短く、冷静に伝える。

ただし、あいまいだと子どもの要求はエスカレートする可能性があるので、あいまいにはしない。一度決めた境界線は、たとえ子どもが荒れて抵抗しても、簡単に戻さず、「前も言ったけど、これはできないよ。代わりに、こういう関わりは一緒にできるよ」と、代わりの方法を提案してあげるのも必要かなと思います。

境界線を引くことは、子どもを突き放すことではありません。

はやし先生
はやし先生:

ここまで境界線をはっきり引くのは、子どもを突き放すためではなく、自分の体も相手の体も大事にする、ということを日常の中で学んでいく機会になると思います。これは将来のパートナーや人間関係にも関わる、大事な学びです。

「ここまでは応えられる。ここからは無理」という限界をきちんと伝えて、人にはそれぞれ我慢できる境界線があるんだな、ということを子どもに理解してもらうことが必要かなと思います。

断った後に「かわいそうなことをした」と感じてしまうときは、なぜそう思ったのかを少し考え、その場の感情ではなく、子どもの将来を考えて今の対応を選んでいると整理できると、自信を持って対応できる、とはやし先生は話しています(詳しくは不登校のわがまま、どこまで聞く?で)。

甘えの奥に「見捨てられないか確かめたい」気持ちがあるときは、不登校の子の試し行動とは?もあわせてお読みください。

不登校の子の親御さんへ、はやし先生からのメッセージ

最後に、子どもの甘えやわがままに悩む親御さんへ、はやし先生のメッセージです。

はやし先生
はやし先生:

そう悩まれるのは、子どもに真剣に向き合っておられる証拠だと思います。まずは、ここまで努力されたご自分を褒めて、認めてあげてほしいなと思います。

子どもの甘えやわがままの裏には、不安や自信のなさがあると思います。気持ちは受け止める。できないことは冷静に伝える。そして、愛情は何でもしてあげることではなく、言葉や態度で日常的に伝える。線引きは突き放すことではないので、ぶれずに関わり続けることで、子どもは「この人は絶対に離れていかないから大丈夫」と安心できるようになると思います。

完璧に対応できなくても大丈夫です。迷ったり疲れたりしたときは、ぜひ専門家を頼っていただきたいと思います。

笑顔で話すはやし ゆか先生
「愛情は、言葉や態度で日常的に伝える」

甘えてくるのは、子どもが「ここなら安心できる」と感じているからこそ。その気持ちは大切に受け止めながら、親が無理なく応えられる形を一緒に探していきましょう。境界線を引くことも、子どもを大切にすることのひとつです。

よくある質問

Q. 不登校の子が赤ちゃん返りするのはなぜ?
A. はやし先生は、不登校の子は不安が強く、「ここは安心できるかどうか」を確かめたくて、赤ちゃん返りのような行動が出ることがあると話しています。甘えたい気持ちそのものは否定しなくていいそうです。
Q. 中学生の子が一緒に寝たがる。応じていい?
A. はやし先生は、甘えたい気持ちは受け止めつつも、すべてに応える必要はないと話しています。一緒に寝る、同じ布団に入る、一緒にお風呂に入る、着替えを手伝う、膝に乗るなど必要以上の身体接触は、年齢が上がるほど境界線をきちんと引くことが大事だそうです。とくに異性の子の場合、親が生理的に対応できない要求ははっきり断ることが必要とのことです。

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