
「学校に行きたくない」と言われたら休ませる? 判断の目安と背中を押していいときを公認心理師が解説
公開 不登校ミーツ編集部
この記事の要点
- 「学校に行きたくない」と言えたこと自体が、言える親子関係の表れ。まずは行くか行かないかより、「どういうところが行きたくないと感じるの?」と気持ちに関心を向ける(公認心理師・髙橋紀子先生)。
- 休ませるかどうかの目安は「安全に、安心して一日を過ごせるか」。正解を当てようとするより、最悪のことが起こらないように判断する。
- 学校を休んでも、心が休めていないことがある。休ませた日は「休めたかどうか」を確かめ、ゲームや昼夜逆転で休みにならないときは環境やリミットを工夫する。
- 背中を押していいケースもある。ただし「学校に行きなさい」ではなく、給食・友達・部活など、本人が楽しみにしているところにピンポイントで。
朝、子どもが「学校に行きたくない」と言った。
無理にでも行かせたほうがいいのか、それとも休ませたほうがいいのか。仕事もあるし、このまま行けなくなったらどうしよう……と、その場で判断を迫られて悩む親御さんは多いはずです。
休ませるかどうかは、何を基準に決めればいいのでしょうか。
今回は、公認心理師の髙橋紀子先生に、子どもに「学校に行きたくない」と言われたときの判断の目安と、親の関わり方を伺いました。

子どもに「学校に行きたくない」と言われたら、まず何をすればいい?
髙橋先生の答えは、「行くか行かないかを決める前に、まず『言ってくれた』ことを受け止めて、どこが行きたくないのか、気持ちに関心を向けてほしい」というものでした。
子どもから「学校に行きたくない」と言われたとき、無理にでも行かせたほうがいいのか、休ませたほうがいいのか、親御さんはすごく悩むと思います。どう判断したらいいのでしょうか。
「学校に行きたくない」と言ってくれたとしたら、まずは言ってくれたことへの感謝というか、それが言える親子関係だったんだな、というところから始まると思います。
多くのお子さんは「行きたくない」となかなか言えなくて、「お腹が痛い」など、違う言い方をすることが多いんです。嘘ではなく、違う言い方で伝えてくるんですね。
ですから、行くか行かないかというよりは、行きたくないという気持ちを話してくれたことを受けて、「どういうところが行きたくないと感じるの?」と、気持ちに関心を持っていただけるといいなと思います。
行くか行かないかを親がすぐ判断するより、なぜその言葉が出てきたのか、背景に耳を傾けてほしいということですね。
心理師としてはそう思うんですけど、親の立場からしたら、お仕事のこともありますし、今日行くのか行かないのかはすごく知りたいところですよね。それもわかったうえでの意見です。

休ませるかどうかは、何を基準に判断する?
髙橋先生が挙げた判断の目安は、「安全に、安心して一日を過ごせるかどうか」です。
「今日は休ませたほうがいい」と判断するサインがあるとしたら、どんなものがありますか?
一つは安全かどうかですね。お子さんの年齢にもよりますが、休ませることで安全に休める状態なら、休ませていいと思います。
ただ、まだ低学年だったり、自分を傷つけてしまうおそれがあったり、一人になると危ないなという場合は、本当に「休み」になるのかが問題になります。安心して一日過ごせるかどうかが、一つの判断になると思います。
安心して休めるかどうかを、親だけで判断するのは難しそうです。判断のコツはありますか?
適切な判断をすること自体が、たとえ親御さんが専門職だったとしても、すごく難しいんです。
なので、正しく判断しようとするよりは、最悪のことが起こらないようにする、という考え方で判断する感じですね。安全に過ごせるかどうかが、一つの判断基準になると思います。
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ゲームばかり・昼夜逆転が心配でも、休ませていい?
「休ませたらゲームばかりになるのでは」「昼夜逆転しないか」という心配に対しては、休ませるかどうかより、「どう休ませるか」を工夫するという考え方でした。
親御さんが思う「安全」と、心理師の先生が思う「安全」には、少し差があるかもしれません。たとえばゲームばかりしてしまう、昼夜逆転してしまうといったことは、どう見ればいいでしょうか。
家で休んでいたら日中もそのまま寝てしまうとか、ゲームばかりしてしまうとかだと、それは休みにならず、依存性を高めたり、昼夜逆転をエスカレートさせたりするかもしれません。
すぐに判断するのは難しいかもしれませんが、ゲーム依存が心配なときは、日中休んでいる間はゲームを使えない環境にする。たとえばの例ですが、親御さんが職場にゲーム機を持っていく、というのも一つかと思います。
昼夜逆転は、大人の時差ぼけと少し似ていて、急には元に戻せないこともあります。なので、「何時ぐらいになったら〇〇をしてね」と、少しリミットをつけておくのも一つのコツかなと思います。
「休ませる・行かせる」の二択ではなく、休ませるとして、どう休ませるのか、具体的な過ごし方を考えることが大事なんですね。
学校を休んでも、休みになっていない人もいるんです。心が休まっていなかったり、かえって焦ってしまったり。
ですから、安全かどうかで一度休ませたとしたら、その日、休めたかどうかを確認できるといいかもしれないですね。
たとえば夜に「一日過ごしてみてどうだった? ちょっとリラックスできた?」と聞いてみる、という感じですね。
昼夜逆転への対応は、不登校の昼夜逆転は放っておく?で詳しく伺っています。
「明日は行ける」と言ったのに、朝になると行けないのはなぜ?
休ませた日の夜に「明日は行ける気がする」と言っていたのに、朝になると「やっぱり行けない」。髙橋先生によると、これはよくあることだそうです。
休ませてみたけれど、不安や焦りが出てきて気が休まらなかった。でも学校に行けるわけでもない……。そんなときは、どうしたらいいのでしょうか。
もし「休まらなかった」とそのまま親御さんに言えるとしたら、それはめちゃくちゃいい親子関係なんですね。
多くのお子さんは、夜や夕方には「明日は行ける気がする」と、自分の安心よりも、親を安心させることを優先して、朝になったら「やっぱり行けない」となることのほうが多いと思います。
確かに、多いですね。
夜の「行ける」は、うそをついているのではなく、親を安心させたい気持ちから出ていることもある。そう知っておくだけでも、朝の「行けない」の受け止め方が変わりそうです。

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背中を押したほうがいいケースはある?
「仮病では」「甘えているのでは」と感じて、背中を押したほうがいいのか迷う親御さんもいます。髙橋先生は「もちろん、大人がきっかけを作ることが有効なこともたくさんある」と話します。ただし、押し方には工夫があります。
中には、仮病を疑ってしまったり、甘えているんじゃないかと思ってしまったりして、背中を押したほうがいいのでは、と悩む親御さんもいると思います。背中を押したほうがいいケースは、そもそもあるのでしょうか。
もちろんです。背中を押してもらってきっかけを作る、大人の側がきっかけを作ることが有効なことも、たくさんあります。
たとえば、どんなケースでしょうか。
本人が学校のどういうことを楽しみにしていて、どういうことを嫌がっているのかを親子で知っていたら、それはすごくいいことなんです。
たとえば、給食を楽しみにしている子だったら「今日はカレーだよ」「揚げパンだよ」と伝えてみるのも一つかもしれませんし、仲の良い友達と遊ぶのを楽しみにしている子なら、その子に会うために学校に行く、という勧め方も一つかもしれません。
結構あるのが、学校には行きたくないけど、部活には行きたいという子です。「学校に」という言い方をしないで「部活には行きたいんじゃない?」と聞いてみる。
子どもは、「授業を受けていないのに部活だけ出てはいけないんじゃないか」と思っていることもあるので、それがOKかどうかを学校と確認して、本人が行きやすいきっかけを作るのもいいと思います。
「学校には行かなきゃいけないんだよ」という背中の押し方ではなくて、学校の中に少しでも前向きな部分があるなら、そこだけピンポイントで背中を押すイメージですね。
本当にそう思います。
「学校に行きたくない」と言えている子は、それだけで、すごく大事なことなんです。どんなに嫌なことがあってもSOSを出せない子に比べたら、それをきっかけに、何が楽しくて何がつらいのかを、親や大人と共有できる貴重な体験になると思います。
だから腫れ物に触るようにではなく、話を聞いて、必要なときは背中を押すし、学校との交渉を大人が代わりにしたり、守ってあげたりすることが大事なんじゃないかなと思います。
| 背中の押し方 | 例 |
|---|---|
| 避けたい押し方 | 「学校には行かなきゃいけないんだよ」と、学校全体に向けて押す |
| 髙橋先生が挙げた押し方 | 給食・仲の良い友達・部活など、本人が楽しみにしているところをきっかけにする |
| 大人が代わりにすること | 「部活だけ参加してもいいか」など、学校との確認や交渉を親が引き受ける |

不登校の子の親御さんへ、髙橋先生からのメッセージ
「学校に行きたくない」と言われると、大きなショックを受けたり、「私の子育てがよくなかったのでは」と自分を責めたりする親御さんも少なくありません。かほがそう伝えると、髙橋先生はこう話してくれました。
「行きたくない」「休みたい」という気持ちを出せるのは、親子関係がいい証拠。この言葉は、きっと多くの親御さんの助けになると思います。学校に行きたくないと思う子にしてしまった、と自分を責めてしまう方も多いので。
私も保護者の方とお会いする中で、「学校に行きたくない」と言われると、このまま引きこもりになってしまうんじゃないか、すごく悪化するんじゃないかと不安になるんだ、ということを教えられました。確かにそういう不安もあると思います。
一般化はできないんですけど、社会人でも、仕事に行きたくないことってありますよね。大人の場合は、そういうときに休暇を使ったり、切れるカードが複数ある。実は社会人も、毎日絶対に行かないといけないわけではないんです。
そう考えると、「行きたくない」ということは、そんなに致命的なことでもないんじゃないか。私はそういう感覚になっています。

「学校に行きたくない」は、親にとってはショックな一言です。でもそれは、お子さんが「つらい」を言葉にして、親に預けてくれたサインでもあります。行かせるか休ませるかを急いで決める前に、まず「どこが行きたくないの?」と、気持ちのほうに目を向けてみてください。
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髙橋 紀子先生
公認心理師・臨床心理士
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「小学1年生が入学早々に行き渋り。毎朝泣く息子を無理にでも連れて行くべきですか」
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ご質問ありがとうございます。 ゲームを取り上げるべきか、そのままにしておくべきか、迷われるお気持ち、とてもよく分かります…
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