
不登校の昼夜逆転は放っておく? ゲームが原因のとき・長期化したときの対応を公認心理師が解説
公開 不登校ミーツ編集部
この記事の要点
- 不登校の子の昼夜逆転は、大きく2つ。ゲームのイベントや仲間との約束が夜にあって「意識的に」夜型になるケース(ここ数年とても増えている)と、家で過ごす期間が長くなって夜のほうが落ち着くようになったケース(公認心理師・髙橋紀子先生)。
- ゲームが理由のときは、まず親がイベントの予定を「へー」と知るところから。ルールは一方的に決めず、親が提案しつつ一緒に決めると守りやすい。
- 長期化して夜型になったときは、起こす・起こさないではなく、朝にカーテンや窓を開ける、カレンダーをめくるなど、環境から「今は朝」「日が流れている」と伝えていく。
- 「やめて」と言われたら、無理強いせず「教えてくれてありがとう」。今まで築いてきた親子関係を壊してまで直さなくていい。
学校を休むようになってから、夜中まで起きていて、昼過ぎまで寝ている。
「このまま放っておいていいの?」「朝、無理にでも起こしたほうがいい?」──不登校の子の昼夜逆転は、多くの親御さんが悩むことのひとつです。
今回は、公認心理師の髙橋紀子先生に、不登校の子が昼夜逆転する理由と、ケース別の対応を伺いました。

不登校の昼夜逆転は、放っておいていい?
髙橋先生の話をまとめると、無理やり元に戻そうとするより、なぜ夜型になっているのかを見て、それに合わせて少しずつ戻していく、というのが基本です。
療養していく中で、昼夜逆転してしまうお子さんはたくさんいると思います。そういうとき、親は介入するのか、しないのか。介入するとしたら、どんな介入ができるのかを伺いたいです。
昼夜逆転は、大人の時差ぼけと少し似ていて、急には元に戻せないこともあるんです。
髙橋先生によると、不登校の子の昼夜逆転には、よくある2つのケースがあります。理由が違えば、対応も変わります。
| ケース | どんな状態? | 対応のポイント |
|---|---|---|
| ① ゲームが理由で「意識的に」夜型 | ゲームの大きなイベントや、仲間との集合時間が深夜にある | 親がまずスケジュールを知る→一緒にルールを決める |
| ② 長期化して夜型 | 家で過ごす期間が長くなり、夜のほうが静かで落ち着く。日中起きている理由がなくなる | 起こす・起こさないではなく、環境から朝や日付の流れを伝える |

ゲームのイベントで夜型になっている子には、どう対応する?
まず多いのが、ゲームが理由のケースです。髙橋先生は「ここ何年か、めちゃくちゃ増えている」と話します。
最近、昼夜逆転しているお子さんの相談で多いのが、ゲームにハマっていて、大きなイベントが深夜にあるとかで、意識的に昼夜逆転しているケースです。
そういうときに全部のイベントを我慢させるのは、すごく厳しかったりします。なので、まず親御さんに、ゲームのイベントのスケジュール、どのタイミングにあるのかを知ってもらう。
毎回イベントに参加するのは難しいとしても、「夏休みのこの期間だったらいいよ」とか、一緒にスケジュールを立てることをお勧めすることが多いです。
イベントだけでなく、ゲーム仲間との待ち合わせが夜中ということも多いですよね。
本当にそうです。一緒に遊ぶ仲間が社会人だったりすると、集合時間がかなり遅い時間になることもあります。
ゲームが、彼らにとってのもう一つの世界という感じになっているので、大人が一度それを理解する。どういうサイクル、どういうスケジュール感で進んでいるのかを把握することが大事だと思います。
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把握したゲームの予定は、どう生かせばいい?
予定を知ったら、次はルール作りです。ポイントは「一方的に決めない」ことでした。
まず、把握できるということは、結構親子関係がいいんですね。把握させてもらえているということなので。
一緒にゲームをしなくていいので、「へー、こんなに頻繁にイベントがあるんだね」「こんな時間にあるんだね」と、新しい世界を知った、という関わりをする。
そのうえで、一方的にルールを決めるよりは、一緒に考えていく。スケジュールを大人の側から提案しつつ、「これはどう思う?」と、交渉し合うというか、話し合えるようにしていけると、本人も「親から一方的に押し付けられた」ではなく、「自分も決めた」と思えるので、実現しやすくなると思います。
親が否定から入るのではなく、まず関心を持って知る。そのうえで、お子さんの気持ちを大事にしながら、一緒にルールを作っていくんですね。
ゲームのスケジュールを親が把握できたとしたら、一度、大人同士で祝杯をあげてほしいくらいです。それは当たり前にできることではなくて、心を開いてもらえたから得られた情報なので。
ゲームやスマホとの付き合い方そのものは、不登校の子のゲーム・スマホは制限するべき?で髙橋先生に詳しく伺っています。

長く家で過ごして昼夜逆転した子には、どう対応する?
もう一つは、昔からある、不登校が長くなったケースです。
家で過ごす期間が長くなると、夜のほうが静かで、心が落ち着くので、夜のほうが活動しやすくなるんです。それによって、日中起きている理由がなくなってしまう。
そのときは、本人を起こす、起こさないではなく、本人が寝ているときでも、朝になったら大人がカーテンを開ける、窓を開ける。本人が休養できる範囲で、ですね。
「今が朝だよ」とか、まぶしい、寒くなった、雨が降っている、といった環境を教えるような形で、少しずつ戻していくことが多いと思います。
朝は窓を開ける、風を当てる、カレンダーをめくる。そんなふうに、環境の面から「今は昼なんだな」「月日が流れているんだな」とわかる手がかりを作っていくところから始めるのがお勧めです。
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髙橋 紀子先生
公認心理師・臨床心理士
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カーテンを開けると「やめて」と嫌がられたら?
夜のほうが落ち着くから、本人があえて夜型にしている場合、朝カーテンを開けると「寝られないからやめて」と言われることもあります。
朝カーテンを開けたら「寝られないからやめて」と言われてしまうこともあると思います。その場合は、どう対応したらいいでしょうか。
無理やりすると、部屋に入れてもらえなくなる可能性があります。ですから「やめて」と言われたら、「そうなんだ、教えてくれてありがとう。それは嫌だったんだね」でいいと思います。
あとは、少しずつ、許される範囲で、という形になると思います。午前中に開けられるのがすごく嫌らしいとなったら、夕方でもいい。
基本的には、本人に意見を言ってもらえたら、それはすごく貴重な情報、というイメージです。
大前提として、親子の信頼関係は、いつも大事にしていたほうがいいんですね。
イメージは、「あえて壊さなくていい」です。
今から親子関係を作る、と思うとプレッシャーかもしれませんが、今まであった親子関係を台無しにしてまで、学校に行かせるようなことはしなくてもいいんじゃないかなと思います。
なお、昼夜逆転が「意識して夜型にしている」のではなく、眠れない・食べられないといった体の不調を伴っている場合は、休ませ方そのものが変わります。消耗しているときの休ませ方は、不登校の休養期、家でどう過ごす?で伺っています。
不登校の子の親御さんへ、髙橋先生からのメッセージ
最後に、不登校のお子さんと向き合う親御さんへ、髙橋先生のメッセージです。
まず、不登校は失敗じゃない、つまずきじゃない、ということがあります。
生きていく中で、うまくいかないことやつまずくことは、あるのが当たり前で、自然なことです。それを、子どものうちは親が共有して、どうやったらうまくいくかを直接手伝うことができます。
一緒に生活する中で、この子は何が苦しくて、何にエネルギーを使うのかを知ることができる。それは、人生の中ですごく大事な情報を共有できたということだと思います。

昼夜逆転は、親から見ると「だらしなくなった」ように見えるかもしれません。でもその裏には、夜にしか会えない仲間がいたり、夜のほうが心が落ち着いたりと、本人なりの理由があります。まずはその理由を知るところから。直すことを急いで親子の関係を壊すより、少しずつ、許される範囲で戻していきましょう。
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