
子どもが物に当たる・壁に穴を開けたら?公認心理師が解説
公開
お話を伺った専門家:はやし ゆか先生(公認心理師)
取材・構成:不登校ミーツ編集部
この記事の要点
- 子どもが物に当たったら、まず本人とほかの家族にけががないかを見守る。親も身の危険を感じたら、その場を離れる(公認心理師・はやし ゆか先生)。
- イライラしたときに落ち着ける場所を、あらかじめ決めておく。物のない部屋が理想。難しければ大きな段ボールで「ここで落ち着く」場所をつくった家庭もある。ルールは荒れる前に伝えておく。
- 壊れた物や壁の穴は、落ち着いた後に親子で一緒に片付け・修復するのがいちばん。理由を聞く時間にもなり、直す大変さを身をもって知ると、繰り返さなくなる子も多い。
- 「やめなさい!」と大声で叱るのは逆効果になりやすい。落ち着いたペースで「それはやめようね」と伝える。
イライラすると、物を投げる。ドアを強く閉める。壁を殴って、穴を開けてしまった。
人に向かっていないとはいえ、目の前で物が壊れていくのは怖いものです。壊れた物や壁の穴を前に、「親が片付けるべき?」「子どもにやらせるべき?」と迷う方も多いはずです。
今回は、公認心理師のはやし ゆか先生に、子どもが物に当たったり、壁に穴を開けたりしたときの、親の対応と片付け方を伺いました。

子どもが物に当たったら、親はまず何をする?
はやし先生がまず挙げたのは、「けががないかを見守ること」と「親自身の安全」です。
人に直接ではなくても、物に当たってしまったり、壁を殴って穴を開けてしまったりするケースもあると思います。そういうとき、親御さんはどう対応したらいいでしょうか。
まず、お子さん自身や、ほかの家族の方にけががないか見守ることが大事だと思います。親御さん自身も身の危険を感じるときには、その場から離れることが重要です。
その場で強く止めようとして、親が巻き込まれてけがをしてしまっては元も子もありません。まずは安全を確保して、子どもがクールダウンするのを待ちましょう。
イライラしたとき用の「落ち着ける場所」は、どうつくる?
はやし先生がすすめるのは、イライラしたときに落ち着ける場所を、あらかじめつくっておくことです。
これはご家庭の状況によって難しいかもしれませんが、イライラしたときに落ち着けるスペースをあらかじめつくって、「落ち着くまでその場所にいる」という方法を、イライラする前、物に当たる前に、事前に子どもに伝えておくのも有効かなと思います。
あるご家庭では、家具など何もない、刺激のない部屋をつくって、「落ち着くまでこの部屋でしばらく過ごしてね」と対応された方もいらっしゃいました。
落ち着けるスペースは、物があまりないほうがいいんですね。
そうですね。子どもが攻撃的になったり興奮状態になったりすると、目に入るものすべてを投げつけたくなる。物に当たりやすいというのは、どのお子さんにも共通しているかなと思います。
何もない状態だと、投げたくても投げられないので、そこで自分の中でうまく折り合いをつけて、コントロールできるのかなと思います。
部屋をつくるのが難しい場合は、たとえば大きな段ボールを用意して、その子だけがそこで落ち着くように、と工夫されていた方もいらっしゃいました。

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壊れた物や壁の穴は、親と子どものどちらが片付ける?
荒れた後に残る、壊れた物や壁の穴。はやし先生の答えは、「落ち着いた後に、親子で一緒に」です。
お子さんが部屋を荒らしてしまったとき、壊れた物や壁の穴は、親御さんが片付けてあげるのがいいのか、子どもに片付けさせるべきなのか、二人で話し合うべきなのか。どう対応するのがいいでしょうか。
いちばんいいのは、落ち着いた後に一緒に片付けたり、壁を修復したりすることかなと思います。
片付けの途中で、「なんでこういうふうにしてしまったのかな」「理由があったら教えて」と、話をする時間にもなると思います。
それから、物の修復には結構時間がかかりますし、片付けも大変です。それを子ども自身が身をもって経験すると、「今度から同じようなことをするのはやめておこう」と感じるお子さんも多いように感じます。
理由を聞くときは、タイミングも大切です。まだイライラしている途中で無理に聞くと、かえって心を閉ざしてしまうことがあります。落ち着いた後の聞き方は、不登校の子の暴言・暴力への対応は?で詳しく伺っています。
この記事でお話を伺った先生に、
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はやし ゆか先生
公認心理師
「どうしたらいい?」からで大丈夫です
子どもが荒れているとき、やってはいけない対応は?
物に当たっているとき、つい大きな声で止めたくなります。でも、はやし先生は「同じトーンで返すのは避けて」と話します。
興奮していたり、なかなか落ち着かなかったりするときに、火に油を注ぐではないですが、同じような声のトーンで反応してしまうのは避けたほうがいいのかなと思います。
たとえば「やめなさい!」と大きな声で叱ると、よけいにエスカレートすることが考えられます。基本的には、どんなことが起きても落ち着いたペースで、「それは痛いよ」「それはやめようね」と伝えるのがひとつかなと思います。
刃物が出るなど、命に関わる状況になったときは、ためらわず警察や児童相談所の専門ダイヤル(189)など外部の助けを求めてください。相談先の目安は、子どもの暴力が母親にだけ向くのはなぜ?でまとめています。
不登校の子の親御さんへ、はやし先生からのメッセージ
最後に、子どもの暴言や暴力、荒れる姿に悩んでいる親御さんへ、はやし先生のメッセージです。
暴言や暴力は、人を恐怖の支配下に置くので、親御さんの思考をストップさせてしまうほど、怖いと感じられることも多いと思います。
ずっと子どもと一緒にいて、なんとかしなくちゃと思っている責任感の強い親御さんも多いと思いますが、ご自分の時間を少しつくって、別々の時間もとって、ご自分のケアも大切にしていただきたいなと思います。

物に当たる姿を見るのはつらいものですが、「人ではなく物に向けている」のは、子どもなりに踏みとどまっている面もあるのかもしれません。荒れる前に落ち着ける場所を決めておく。荒れた後は、一緒に片付けながら話を聞く。そうした小さな準備と積み重ねが、子どもが自分のイライラと付き合う力につながっていきます。
よくある質問
- Q. 子どもが開けた壁の穴は、親が直す?子どもに直させる?
- A. はやし先生は、落ち着いた後に親子で一緒に片付けたり、壁を修復したりするのがいちばんいいと話しています。作業しながら「どうしてこうなったのかな」と理由を聞く時間にもなり、直すのに時間がかかる・片付けが大変だと身をもって経験すると、次からやめておこうと感じる子も多いそうです。
- Q. イライラして物を投げる子に、家でできる工夫は?
- A. イライラしたときに落ち着ける場所を、荒れる前にあらかじめ決めて伝えておくことです。はやし先生によると、家具などのない刺激の少ない部屋をつくった家庭や、部屋が難しい場合に大きな段ボールで「ここで落ち着く」場所をつくった家庭もあったそうです。何もなければ、投げたくても投げられず、自分の中で折り合いをつけやすくなります。
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「どうしたらいい?」からで大丈夫です
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