
不登校でゲームばかり、やめさせると癇癪になる子への対応は? 発達特性のある子の「やめられない」を公認心理師が解説
公開 不登校ミーツ編集部
この記事の要点
- 発達特性のある子がゲームをやめられないのは、気持ちの問題だけではない。ゲームは深く集中できるように作られていて、そこから現実の世界に戻ってくること自体が大変(公認心理師・山岸佳織先生)。
- ゲームがストレスや疲れの発散の場になっている子は、制限されることへの抵抗が強くなりやすい。
- 突然「はい、おしまい」にせず、始める前に終わり方を約束する。タイマー、区切りのいい場面で終わる約束、目で見える残り時間などで「終わりの見通し」を持たせる。
- 癇癪や暴言の最中は説得しない。まず安全を確保し、子どもの気持ちや状態を「実況中継」して落ち着くのを手伝う。
- 睡眠や食事まで崩れる、止めようとしても止められない状態が続くときは、迷わず医療機関も含めて相談を。
「学校に行かなくなってから、一日中ゲームばかり」
時間を決めても守れない。「もうやめなさい」と言うと、泣き叫んだり、物に当たったり、ひどい言葉が返ってきたりする。このままゲーム依存になってしまうのでは……と不安になる親御さんは少なくありません。
ゲームをやめられないのは、やる気やわがままの問題なのでしょうか。親は、どこまで制限して、どう声をかければいいのでしょうか。
今回は、公認心理師の山岸佳織先生に、発達特性のあるお子さんの不登校を前提に、ゲームをやめられない理由と、癇癪や暴言が出たときの対応を伺いました。

不登校でゲームばかり。やめられないのは「わがまま」なの?
山岸先生の答えは、「単に『やめたくない』という気持ちの問題というより、深く集中しているがゆえに、現実の世界に戻ってくるのが大変なことが多い」というものでした。
「ゲームをなかなかやめられず、やめるように言うと癇癪や暴言になる」。これは本当によくいただくご相談です。何が起きているんでしょうか。
ひとつは、ゲームってすごく集中しやすい工夫が、いろんなところに散りばめられているんですよね。
だから、単に「ゲームをやめたくないな」という気持ちの問題というより、深い集中をしているからこそ、そこから現実の世界に戻ってくるのが大変ということが、大きな理由として考えられます。
もうひとつは、ゲーム自体が、本人の疲れやストレスを発散する場所になっている場合です。
しんどい勉強などから逃げられる、リラックスできる場でもあるので、そこを制限されることへの抵抗が強くなるケースもあると思います。
山岸先生は、好きなことには何時間でも集中できるのに勉強には集中できない、という相談についても、「やる気の問題」で片づけないでほしいと話します。部屋の明るさや音、においなど、集中できるかどうかは環境にも大きく左右されるからです。
お子さんがゲームで集中しているなと思ったときに、ゲームのどんなところが、この子の集中力を引き出しているんだろう、というのを一つ考えてみてもいいかなと思います。
勉強との向き合い方は、不登校中の勉強の記事でも詳しく紹介しています。
ゲームは取り上げる? 禁止する? 親が「敵」にならないために
ゲームをすべて禁止したり、取り上げたりするより、親が子どもの世界を否定する「敵」にならないことが大切だと、山岸先生は話します。
お子さんがオンラインの世界に入り込んでいると、親としては「依存しているのかな」「引きこもりになってしまうんじゃないか」と、いろいろ想像してしまいます。
お子さんにとって、ご家族が敵にならないでほしいなと思うんです。
お子さんにとって今オンラインしかないときに、ご家族がオンラインを否定してしまうと、お子さんにとっては自分の世界を否定してくる存在になってしまう。どうしても、敵になってしまいがちな構図が生まれやすくなるかなと思います。
ただ、だからといって昼夜逆転していても何もしなくていい、というわけではありません。
お子さんの隣にいて、お子さんの世界を一緒に見ていく。そういう関わり方をしていただけるといいかなと思います。
山岸先生は、家での過ごし方について話す中でも、「みんなが学校に行っている時間は、オンラインゲームを絶対にしてはいけない」のように、学校に行かない分を家で頑張らせようとしすぎないことが一番大事だと話していました。ある程度の制限は必要かもしれないけれど、不登校になった時期は、本人が思っている以上に心と体のエネルギーが減っていることが多いからです。
学校に行っていないから社会参加できていない、ということではなくて、もしかしたらオンラインの世界でお友達がたくさんいるかもしれないし、自分の世界をしっかり作っている途中なのかもしれません。お子さんの社会参加を、学校だけに絞らず、広い目で見てあげられるといいなと思います。

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•••こんな相談に回答しています
「不登校の中2息子、ゲームの時間制限がまったく守られません。取り上げるべきでしょうか」
山岸佳織先生 の回答
ご相談ありがとうございます。 「ゲームの話しかできない」と感じておられるとのことですが、私はむしろ、「ゲームの話ならでき…
ゲームをやめさせると癇癪になる子、終わり方はどう約束する?
ポイントは、突然終わらせないこと。始める前に「どうやって終わるか」を約束して、終わりの見通しを持てるようにすることが大切です。
親御さんは、具体的にどう対応していけばいいでしょうか。
すごく難しいところではあると思うんですが、前提として、突然「はい、おしまい」としてしまうと、お子さんにとっては世界が突然終了、という感じになってしまいます。
なので、まず始める前に「タイマーが鳴ったら、終わる準備をするよ」というような形で、終わりの見通しが持てるようにするのが大事なところかなと思います。
アラーム音が苦手な子には、別の「合図」を
ただ、アラームの音が嫌いというお子さんもいます。
私の知っているご家庭では、別のゲームのエンディングの音楽をアラームに設定していました。ファイナルファンタジーをやっているときに、ドラゴンクエストのエンディングが聞こえてきたら、ゲームを終わる準備をしようね、と。お子さんに合わせたいい工夫だなと思いました。
そんなふうに、お子さんが一旦ゲームの世界から離れやすくなるお手伝いをしていくのは大事かなと思います。
「区切りのいいところで終わる」を約束しておく
ゲームって、「あと5分で終了」というときに、ちょうどボス戦が始まった、ということもありますよね。オンラインゲームだと、会話が今まさに盛り上がっているタイミングで「おしまい」は無理だ、ということもあります。
だから、ゲームの種類に合わせて、どこで終わるかを約束しておくところからスタートするのがいいと思います。
| ゲームの種類 | 終わり方の約束の例(山岸先生) |
|---|---|
| ストーリーのあるゲーム | 「この場面が終わったら」「次にセーブポイントを見つけたら」終わる |
| パズルゲーム | 途中でアラームが鳴ったら、その1ゲームが終わったところで終わる |
| オンラインでチャットしながら遊ぶゲーム | タイマーが鳴ったら、話せるタイミングで「ごめん、そろそろ今日は終わる時間だから」と言う |
残り時間は「目で見える形」に
ゲーム中に、あと何分なのかをわかりやすくするために、タイムタイマー(残り時間が色の面積で見えるタイマー)を使うお子さんもいます。
数字で「あと10分」と見えるより、60分あったゲーム時間が、あとこれだけと見えるほうが実感を持ちやすいタイプのお子さんもいるんです。特に発達特性の強いお子さんだと、目で見える形で、終わりの時間までのイメージがつくことは大事かなと思います。
お子さんに合わせた工夫を、試行錯誤しながら見つけていくことが大事なんですね。
癇癪・暴言が出たとき、親はどうすればいい?
癇癪や暴言の最中は、説得したり、正しさを伝えたりしないほうがいい。まず安全を確保し、子どもの今の気持ちや状態を言葉で「実況中継」して、落ち着くのを最優先にします。
ここまで工夫しても、どうしても癇癪が起きてしまう、暴言が出てしまう、ということもあると思います。そういうときはどうしたらいいでしょうか。
これはゲームに限らずですが、お子さんが「うわーっ」となっているときに、「だからね」「こうでね」「言ったでしょ」というのは、ほとんど入らないので、むしろしないほうがいいと思います。
お子さんも、親御さんの言っていることが正しいとわかっているんです。正しいとわかっているけど、やめたくない。やめられない。やめるのが怖い。そうなっているときに、わかっている正しさを言われても、余計に反発することが多いんですね。
だから、癇癪や暴言のときは、説得するとか、言い方を正させるとか、そういうことはしないほうがいいです。

いちばん大事なのは「安全の確保」と「実況中継」
まず一番大事なのは、お子さんと親御さんの安全を確保すること。そのうえで、お子さんの今の気持ちや状況を実況中継してあげて、落ち着くのを最優先にするのがいいですね。
「今すっごく怒ってるね」「すごく荒れてるね」「なんかもうムシャクシャしてるね」「約束だってわかってるけど、嫌なんだね」。
お子さんが「バカ」と言ってきても、「しんどいね」「嫌なんだね」「荒れてるね」と、今の状態を言葉で実況中継しながら。だからやめさせる、癇癪を抑えつける、というのではなくて、お子さんが自分の「うわーっ」となっている状態を客観的に見て、自分で落ち着くお手伝いをしていく、というイメージです。
この「実況中継」は、本当に今日から使えるテクニックですね。
そうですね。少し話が外れますが、褒めるときも同じで、「えらいね」「すごいね」より、「これできたじゃん」「今、投げっぱなしにしないで片付けたじゃん」と、できたことをそのまま言葉にする。
いい・悪いを言うのではなく、「できたね」「今こういう状況だね」と伝えることは、お子さんが親にちゃんと見てもらえているという感覚を作りますし、自分は今こういう状態なんだ、と早くキャッチできるようになるための声かけなんです。ぜひたくさん使っていただきたいなと思います。
物を投げるなど、危ないことには線を引く
実況中継は、何をしても受け入れるという意味ではありません。山岸先生は、子どもが荒れているときについて別の場面でこう話しています。
「今もう疲れてるね」「嫌なんだね、ムシャクシャしてるんだね」と気持ちのところは伝えつつ、でも物を投げるのだけは危ないからやめてね、と。やってはいけないことは、線引きをして伝えていくのが大事です。
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山岸 佳織先生
公認心理師・精神保健福祉士・臨床発達心理士
親子の「今」を大切に、一緒に考えます
ゲーム依存が心配。医療に相談する目安は?
山岸先生は、睡眠や食事まで崩れている、実況中継しても落ち着かない、止めようとしても止められない状態が続くときは、迷わず医療機関も含めて相談してほしいと話します。
癇癪があまりにもひどいとか、睡眠や食事といった生活まで崩れてしまって、おうちで実況中継してみても落ち着かない、いつまでも止まらない。そういうふうに困っているなと思ったら、医療も含めて相談していくのは大事な視点かなと思います。
ゲーム依存を心配されている方もたくさんいらっしゃると思うんですけど、止めようと思っても止められない、という状態が続くようであれば、迷わずに医療機関も含めて相談していただけるといいと思っています。
専門家に頼るのは本当に大事ですね。ただ、周りに相談できる専門家がいない、という方もいらっしゃると思います。
医療機関に行くかどうか迷う段階でも、相談先はいくつもあります。どこに相談すればいいかは、子どもの発達が気になったときの相談先の記事でも紹介しています。

不登校の子の親御さんへ、山岸先生からのメッセージ
最後に、ゲームや癇癪をはじめ、毎日の困りごとの真っ最中にいる親御さんへ、山岸先生にメッセージをいただきました。
こういう困りごとを抱えているお子さんの親御さんは、とってもとっても大変だと思います。相談することにハードルがある、というお気持ちもとてもよく理解できます。
ただ、こういう困りごとがあるのは、お子さんが悪いわけでも、まして親御さんの育て方や対応が悪かったわけでも全くありません。むしろ、ご家庭が安心できる環境だったからこそ、困りごととしてご家庭で出てくるものでもあります。お子さんを責めることなく、ご自身を責めることなく、これからどう関わっていくのが一番いいのかを考えていってほしいなと思っています。
困った行動が出ているのは、お子さんにとって何か大変さがあるよ、というサインでもあります。そして、相談するのは、家でもっと頑張ってどうにもならなくなってからではなく、今困っている状態で相談していただくほうが、つらい時間が減ると思います。お一人で抱え込まず、支援者と一緒に対応を考えていってもらえたらと思います。

ゲームを「やめられない」その裏には、深い集中や、疲れを癒やしたい気持ちがあるのかもしれません。取り上げる・禁止するより先に、終わり方を一緒に決めること。荒れたときは、正しさより気持ちを言葉にすること。うまくいかないときは、一人で抱えずに相談してみてください。
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山岸 佳織先生
公認心理師・精神保健福祉士・臨床発達心理士
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「不登校の中2息子、ゲームの時間制限がまったく守られません。取り上げるべきでしょうか」
山岸佳織先生 の回答
ご相談ありがとうございます。 「ゲームの話しかできない」と感じておられるとのことですが、私はむしろ、「ゲームの話ならでき…
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