
不登校でお風呂に入らない・生活リズムの乱れは?公認心理師が解説
公開
お話を伺った専門家:はやし ゆか先生(公認心理師)
取材・構成:不登校ミーツ編集部
この記事の要点
- お風呂や歯磨き、身なりなどは、「命に関わるかどうか」をひとつの判断基準に。命に関わること以外は、しつこく言って親子関係を悪化させないのが得策(公認心理師・はやし ゆか先生)。
- 子どものペースにすべて合わせる必要はない。食事の時間などは、家族がこれまで続けてきた生活のペースのまま提供すればいい。
- 断るときは、将来どんな大人になってほしいかをイメージして。「ここまではできるけど、ここからはできない」を、理由とともに言葉と態度で伝える。
- ゲームやネットのルールは、子どもも同席して一緒に決める。少しの「余白」が関係の潤滑油になる。話し合いなしにWi-Fiを切る・機器を撤去するのは避けたい。
お風呂に入らない。髪も切らない。昼夜逆転して、夜中に「ご飯は?」と言ってくる。ゲームは何時間たってもやめない。
不登校の子との暮らしでは、「どこまで言っていいのか」「どこまで聞いてあげるべきか」に毎日迷います。言えばけんかになる。でも何でも聞いていたら、わがままになってしまいそう──。
今回は、公認心理師のはやし ゆか先生に、不登校の子の生活の乱れを、どこまで見守り、どこで線を引くかを伺いました。

お風呂に入らない・昼夜逆転は、見守っていい?
はやし先生の判断基準は、シンプルです。「命に関わるかどうか」。
長期化しているご家庭でよく聞くのが、昼夜逆転してしまったり、お風呂や歯磨きができなかったりという状態です。こういう状態は見守っていいのか、親が何かサポートすべきなのか、どうなのでしょうか。
私がよくお話しさせていただくのは、命に関わること以外は、親御さんはとても気になると思いますが、しつこく言って親子関係を悪化させることがないようにするのが得策、ということです。
昼夜逆転で睡眠時間が極端に少ないなどは、体の健康状態にも影響するので、避けたほうがいいと思います。お風呂は、衛生状態としては良くないと思いますが、命に関わるところかどうかが、ひとつの判断基準になるかなと思います。
| 生活の困りごと | はやし先生の判断 |
|---|---|
| お風呂・歯磨き・身なり | 気になっても、命に関わらないなら、しつこく言わない |
| 睡眠時間が極端に少ない | 体の健康に影響するので、避けたい |
| 判断に迷ったら | 「命に関わるかどうか」を基準にする |
はやし先生は、実際にあったお母さんの話も聞かせてくれました。
あるお母さんは、子どもが髪の毛を切らない、身なりが汚い、ということをすごく気にされていました。「そこは少し目をつぶりましょう」とお話ししたときは、どうしても納得がいかない、とおっしゃっていたんです。
でも、その子が学校に行くようになってから、「私、あんなことで悩んでいたけど、そんなことどうでもよかった」と、後からお話ししてくださいました。
ですから、まずは生活の細々したことをいちいち注意するのではなく、子どもと良い関係を築くにはどんな言葉をかければいいか、というところに注目していただくと、関係性も徐々に変わってくるのかなと思います。

子どもの生活リズムに、親はどこまで合わせる?
昼夜逆転していると、「夜中にご飯を用意してあげないと」と考える親御さんもいます。はやし先生は「すべてを子どものペースに合わせる必要はない」と話します。
昼夜逆転しているから、夜中にご飯を持っていってあげなきゃいけないかな、と思われる親御さんもいらっしゃるかもしれません。
でも、食事を出す時間なども、親御さんがこれまで築いてこられた生活習慣のとおりに提供してあげればいいのかなと思います。子どもの生活習慣を整えたいと思うなら、子どもの要求にすべて応えるのではなく、家族の正しい生活のペースは崩さずに、そのまま続けておくといいのかなと思います。
昼夜逆転そのものへの対応は、不登校の昼夜逆転は放っておく?でも別の先生に伺っています。
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はやしゆか先生 の回答
小5の頃から、長い道のりを娘さんと一緒に歩いてこられたのですね。そのうえで「やるしかない」と腹を括られたお気持ちに、敬意…
子どもの要求を断るとき、親子関係を壊さない伝え方は?
親子関係は良くしたい。でも、何でも「いいよ」と言っていたら甘やかしになってしまう。この両立に悩む親御さんは多いはずです。
親子関係は良くしたほうがいい、という気持ちと、全部イエスと言っていたら甘やかしになるから適度に断る必要もある、という気持ち。親子関係を良く保ちながら、子どもの要望を断る、うまい言い方はありますか。
親御さんが、今の状態だけでなく、将来子どもにどんな大人になってほしいのかをイメージしながら関わるのが大事かなと思います。
すべて言いなりになる生活スタイルが許される、と子どもが思ってしまった場合、もしかしたら、将来家庭を持ったときにも、配偶者や自分の子どもに同じようにそのペースを押しつける、ということも考えられます。
ほかの人と良い関係を築いてほしいと思うなら、「家族として、この生活のスタイルは変えられないので、そこはごめんね、今は合わせられないよ」「お母さんはあなたのために最大限動きたいと思っているけど、ここまではできるけど、ここからはできないよ」ということを、きちんと言葉や態度で伝えていくのは、子どもの今後にとっても重要なのかなと思います。
加減の仕方や言葉選びは、すごく難しいところですね。
子どもは今の生活でいっぱいいっぱいで、将来のことまで考えて行動するのは難しいと思います。
だからこそ親御さんのほうで、「これからのあなたのことを、私は一生懸命考えている。そのためにどうすればいいか、そのつど話し合って決めていきたいと思っている。でも、ごめんね、ここからはどうしても合わせられないよ」という形で、理由とともに説明されるのがいいのかなと思います。
わがままがエスカレートするときの線引きは、不登校のわがまま、どこまで聞く?で詳しく伺っています。「不登校は甘え?」という不安については、不登校は甘え?甘やかしすぎ?でも別の先生に伺っています。
ゲームやスマホのルールは、どう決める?
一日中ゲームやスマホばかり。デジタル機器との付き合い方も、線引きに迷うところです。はやし先生は「子どもだけではうまくコントロールできないので、大人の関わりが必要」と話します。
小学生や中学生は、まだ感情の面がうまく育ちきっていないこともあるので、自分のやりたいことを優先してしまうのは普通のことだと思います。
ですから、子どもがすべてを決めるのではなく、大人が関わって、「ここまではいいけど、ここからは、1日何時間にしようね」と、一緒に話し合って決めるのは重要かなと思います。そのとき、親が一方的に決めたルールではなく、子どももちゃんと同席したうえで決めるのが必要かなと思います。
ルールをつくっても、守れないこともあります。はやし先生がすすめるのは、ルールに「余白」をつくることです。
ゲームは時間で区切るより、「この場面をクリアしたら」という兼ね合いで、決めた時間がずるずる延びてしまうこともあると思います。
ルールは守ってもらいたいけれど、そのときどきで「頑張っていたから、ここまでは許してあげてもいいな」という親御さんの気持ちがあれば、一律に絶対ダメではなく、多少のルール変更は必要になってくると思います。その少しの余白の部分が、親子関係を悪化させない潤滑油のようなスペースになるのかなと思います。
逆に、やってしまいがちだけど逆効果になる対応もあります。
親子の話し合いもないままに、Wi-Fiを切ったり、デジタル機器を撤去したりするのは、避けたほうがいいと思います。親子関係が悪化してしまうからです。
話し合いのテーブルに乗らない、言うことを聞かない、というところでご苦労されるのは重々承知しています。でも、暴力や暴言ではなく、「ちゃんと話し合って、あなたの意見も聞いたうえで問題を解決していきたい」という姿勢は、今後の子どもの成長にも非常に重要だと思うので、お互いに合意して、納得したうえで決めていくのが必要かなと思います。
子どもがどうしても譲らないときは、どうすればいいのでしょうか。
親御さんがゲームの時間を決めるのは、きっと子どもの睡眠時間や健康状態も考えてのことだと思います。もし子どもが時間の延長を主張して絶対に変えたくないと言う場合は、少し、睡眠や健康状態に影響がないかを見る期間をとるのもいいと思います。
そこで寝る時間がどんどん遅くなる、健康にも悪影響がある、となれば、子ども自身も納得してその時間を譲れるかもしれません。細かいところの調整は、話し合いを続けながら実際にやってみて、また修正していく、ということもできるのかなと思います。
| ルールづくり | はやし先生の話のポイント |
|---|---|
| 決め方 | 親が一方的に決めず、子どもも同席して一緒に決める |
| 運用 | 頑張ったときは少し許すなど、「余白」をつくる |
| 子どもが譲らないとき | 睡眠や健康への影響を一定期間見て、話し合いながら修正する |
| 避けたいこと | 話し合いなしに、Wi-Fiを切る・機器を撤去する |
ゲーム・スマホとの付き合い方は、不登校の子のゲーム・スマホは制限すべき?でも詳しく伺っています。
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はやし ゆか先生
公認心理師
「どうしたらいい?」からで大丈夫です
不登校になったばかりと長期化しているときで、対応は変わる?
「生活リズムが乱れたら、明日学校に行くチャンスを逃してしまう。命に関わらなくても、早く直したほうがいいのでは」という声もあります。はやし先生は、「不登校の長さによる」と答えてくれました。
不登校になってまだ間もない子の場合は、ルールが効きやすいところもあると思うので、親御さんの決めたルールにきちんと従うように求めるのは必要かなと思います。
一方で、長期化していたり、親子関係がなかなかうまくいかなかったりする場合は、先ほどお話ししたように余白を持たせて、まず親子関係の修復を第一にして接していくのが必要なのかなと思います。
| 状況 | 優先すること |
|---|---|
| 不登校になって間もない | ルールが効きやすい。親の決めたルールに従うよう求める |
| 長期化している・関係がこじれている | 余白を持たせ、まず親子関係の修復を第一に |
長期化の原因や、立て直しの順番は、不登校が長期化する原因と対応は?で詳しく伺っています。
不登校の子の親御さんへ、はやし先生からのメッセージ
最後に、先が見えずに不安を抱えている親御さんへ、はやし先生のメッセージです。
不登校の期間が長引いて、長いトンネルの中にいるようだと感じる方は、とても多いと思います。でも、そのトンネルは必ずいつか抜けます。希望を持って、頼れる相談相手や機関を探してほしいと思います。
今が最悪だと思っても、それがずっと続くわけではない。そのことを心に留めておいていただきたいなと思います。

生活の乱れが気になるのは、子どもを大切に思っているからこそです。それでも、全部を直そうとすると、親子の関係がすり減ってしまうことがあります。「命に関わるかどうか」で見守る範囲を決め、譲れないところは理由とともに伝える。その線引きが、子どもにとっても安心できる家をつくっていきます。
よくある質問
- Q. 不登校の子がお風呂に入らない。言ったほうがいい?
- A. はやし先生は、「命に関わるかどうか」をひとつの判断基準にしてほしいと話しています。お風呂は衛生面では良くないものの、命に関わること以外は、しつこく言って親子関係を悪化させないほうが得策だそうです。一方、昼夜逆転で睡眠時間が極端に少ないなど、体の健康に影響することは避けたほうがよいとしています。
- Q. 不登校の子の要求を断るとき、どう伝えればいい?
- A. はやし先生は、将来どんな大人になってほしいかをイメージしながら関わることを勧めています。「あなたのために最大限動きたいけれど、ここまではできて、ここからはできない」「ごめんね、今それには合わせられない」と、理由とともに言葉や態度で伝えるのが大切だと話しています。
- Q. 不登校の子のゲームやスマホ、Wi-Fiを切ってもいい?
- A. はやし先生は、親子の話し合いがないままWi-Fiを切ったり、機器を撤去したりするのは避けたほうがよいと話しています。親子関係が悪化するためです。ルールは子どもも同席して一緒に決め、状況に合わせて少し変えられる「余白」をつくっておくと、関係を悪化させにくいそうです。
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はやし ゆか先生
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「どうしたらいい?」からで大丈夫です
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「中3娘の不登校、通信制進学で大丈夫?」
はやしゆか先生 の回答
小5の頃から、長い道のりを娘さんと一緒に歩いてこられたのですね。そのうえで「やるしかない」と腹を括られたお気持ちに、敬意…
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