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不登校ミーツ

不登校の子への声かけ|親が言っていい言葉・避けたい言葉と、言ってしまった後の関係の戻し方【発達特性のある子】

公開  不登校ミーツ編集部

この記事の要点

  • 不登校の子への声かけでは、学校に行けた・行けなかったを評価する言葉や「なんで行けなかったの?」は避け、「今日は何して過ごしたの?」のようなオープンな問いかけを(公認心理師・山岸佳織先生)。
  • 「いつになったら行くの?」など焦らせる言葉や、友達・きょうだいが主語の言葉は、責められている・比べられていると感じやすい。「あなたは今日どうだった?」と、子ども自身を主語にする。
  • つい言ってしまっても、子どもが傷つかなければ大丈夫。関係がこじれそうなときは、親が先に言葉の裏の本音(心配だった気持ち)を伝え、謝る。
  • 発達特性のある子は、急に言い方を全部変えられると混乱することもある。「正しい声かけ」を頑張るより、本音で話せる関係をつくるほうが大事。

動画で見たい方はこちら(17:06)

「今日も行けなかったの?」「いつになったら行くの?」

言ってはいけないとわかっていても、つい口から出てしまう。かといって何を話しかければいいのかもわからず、黙ってしまう。不登校の子への声かけは、多くの親御さんが悩むところです。

今回は、公認心理師の山岸佳織先生に、発達特性のあるお子さんが不登校になったときに親が意識したい声かけ、避けたい言葉、そして「言ってしまったあと」の関係の戻し方を伺いました。

対談する不登校ミーツのかほと公認心理師の山岸佳織先生
左:かほ(不登校ミーツ)/右:山岸佳織先生

不登校の子への声かけで、まず意識したいことは?

山岸先生の答えは、「学校に行けたか・行けなかったかを評価しない。それよりも、今のその子の『楽しい』を見つけられるような、オープンな問いかけを」です。

かほ
かほ:

お子さんへの声かけで、親が意識したほうがいいことはありますか?

山岸先生
山岸先生:

お子さんが学校に行ったか行っていないかを評価したり、「今日なんで行けなかったの?」と聞いたりするのは、すでにいっぱいいっぱいになっているお子さんを、さらに追い詰める可能性のある言葉なんです。

行った・行っていない、できた・できなかったで評価するのではなく、「今日はどうだった?」というような、少しオープンな聞き方のほうがいいと思います。

「なんで行けなかったの?」は、親としては理由を知りたいだけでも、子どもにとっては「行けなかったこと」を確認される言葉になりがちです。行けなかった理由をうまく言葉にできない子も少なくありません。

不登校の子に言っていい言葉は? 具体的な声かけの例

山岸先生がすすめるのは、学校の話ではなく、「今」の過ごし方や楽しみに目を向ける言葉、そしてお子さん自身(あなた)が主語になる言葉です。

山岸先生
山岸先生:

たとえば「今日は何して過ごしたの?」「今、こんなのやってみるのはどうかな?」。「お母さん、こんなの見つけたんだけど、ちょっと一緒にやってみない?」「お父さんが美味しいものを持ってくるらしいんだけど、食べる?」。

そういう、学校の話ではなくて、お子さんとの「今の楽しい」を見つけられるような、心を開きやすい質問をしていくのがいいと思います。

山岸先生
山岸先生:

それから、お子さん自身が主語になる言葉を使っていただきたいです。「あなたは今日どうだった?」「あなたは今、何かしたいことある?」「あなたは今、何かしんどいことある?」というように、「あなた」が主語になる声かけをしていってほしいなと思います。

話す山岸佳織先生
「『あなた』が主語になる声かけを」と山岸先生

ほめるときにも、同じ考え方が使えます。山岸先生は、「えらいね」「すごいね」と評価するより、できたことをそのまま言葉にするほうがいいと話します。

山岸先生
山岸先生:

「えらいね、すごいね」とほめるより、「これできたじゃん」「今、投げっぱなしにしないで片付けたじゃん」と、できたことを伝える。言葉としては「えらい」「すごい」は入っていなくても、子どもとしては十分にほめてもらったことになります。

いい・悪いを言うのではなく、「できたね」「今こういう状況だね」と伝えることは、親にちゃんと見てもらっているという感覚をつくりますし、お子さんが「自分って今こういう状態なんだな」と早くキャッチできるようにもなります。ぜひたくさん使っていただきたいです。

不登校の子に避けたい言葉は? 言ってはいけない声かけ

避けたいのは、焦らせる言葉と、友達やきょうだいが主語になる言葉です。親にそのつもりがなくても、子どもは「責められている」「比べられている」と受け取りやすいからです。

かほ
かほ:

逆に、避けたほうがいい声かけがあれば教えてください。

山岸先生
山岸先生:

「いつになったら行くの?」「どうやったら行くの?」といった声かけは、「そんなの自分にもわからないよ」となってしまうことが多いです。言ってもお互い疲れてしまいますし、お子さんによっては責められているように感じることもあります。

焦らせるつもりはなかったとしても、お子さんが聞いたときに焦ってしまいやすい声かけは避けたほうがいいと思います。

山岸先生
山岸先生:

それと少し似ていますが、「周りのお友達はこうだね」「○○ちゃん、こんなことができるようになったらしいよ」という、周りのお友達が主語になる言葉、きょうだいが主語になる言葉。

親としては単なる情報のつもりだったとしても、お子さんにとっては比べられていると感じやすい言葉なんです。

避けたい言葉子どもが受け取りやすい意味代わりの声かけ
「今日なんで行けなかったの?」行けなかったことを責められている「今日は何して過ごしたの?」
「いつになったら行くの?」「どうやったら行くの?」焦らされている(自分にもわからない)「あなたは今、何かしたいことある?」
「○○ちゃんは〜できるようになったらしいよ」友達やきょうだいと比べられている「あなたは今日どうだった?」

朝の支度など、何をすればいいかわからなくなっている子への「早くして」も、あまり役に立たない声かけだと山岸先生は言います。発達特性のあるお子さんには、特に意識しておきたいポイントです。

山岸先生
山岸先生:

「早くして」って言いたくなりますし、私も言ってしまうことがあります。でも、何をしていいかわからないお子さんに「早くして」と言っても、何を早くすればいいのかがわからないんです。

それよりも、「着替え終わったね、さすがじゃん」と、終わったところまで確認してあげる。そして「着替え終わったら次はこれだね」「次は何かな?」と、今何に取り組む時間なのかを意識できるような声かけのほうが有効だと思います。

つい言ってしまったときはどうする? 関係がこじれたときの戻し方

ここまでの「避けたい言葉」は、親御さんならつい言ってしまう言葉ばかりです。山岸先生は、「言ってしまっても、お子さんが傷つかなければ大丈夫。こじれそうなときは、親が先に本音を話して」と言います。

かほ
かほ:

これ、親御さんからしたら、つい言ってしまう言葉ばかりだと思うんです。私も相談を受けていて、「ついこういうことを言っちゃったんですけど、どうしましょう」という声をすごく聞きます。

山岸先生
山岸先生:

すごく多いですね。親だからこそお子さんの将来は心配だし、学校に行ってくれたら学べることもあったんじゃないかと思う。シンプルに、今どう関わっていいかわからないから学校に行ってほしい、ということもある。

お子さんが学校に行けなくなったときに、どれもとても言いたくなるのは自然なことだと思います。

だから、言ってしまったからダメ、ということではありません。極端に言えば、言ってしまってもお子さんがそれで傷つかなければ、大丈夫です。

話す公認心理師の山岸佳織先生
「どれもとても言いたくなるのは自然なこと」と山岸先生
山岸先生
山岸先生:

言ってしまった、傷つけてしまった、ちょっと関係がこじれてしまった、ということもたくさんあると思います。でも、「言っちゃダメって聞いたのに言ってしまった。ここからは正しい声かけばかりにしなきゃ」と頑張るよりも、関係がこじれそうなときには、ぜひ親御さんのほうから先に、本音で話すことをしていただけるといいなと思います。

山岸先生が挙げてくれた例は、こんな場面です。

山岸先生
山岸先生:

たとえば「いつ行くの?」と言ってしまって、お子さんが「わかんないよ」という表情で部屋に閉じこもってしまった。そのときに、力ずくでドアを開けるのではなくて、

「ごめんね。お父さん、ちょっと心配で、君がしんどい思いをしているのが嫌で、不安でつらくて、それを聞きたくて『いつ行くの?』という言い方をしてしまったんだ。でもそれは、君が学校に行っていないことを責めているんじゃなくて、今のあなたの気持ちを知りたいと思っているんだ。もしお父さんの言い方が君にとってショックだったのなら、ごめんね」

というように、言葉の裏にある本当の気持ちを、親御さんのほうから先に伝えてあげる。すぐには許してもらえなかったとしても、それを繰り返して本音を伝えていくうちに、だんだん関係は整っていくと思います。

山岸先生
山岸先生:

なので、正しい声かけを頑張ろうとするよりも、お父さん・お母さんが本音で話してくれて、本音でいてくれるのを受け入れる体制があるよ、という関係をつくるのが大事だと思います。

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ゴールド

山岸 佳織先生

公認心理師・精神保健福祉士・臨床発達心理士

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声かけの言い方は、今日から全部変えたほうがいい?

「避けたい言葉」を知ると、明日から言い方をがらりと変えたくなるかもしれません。けれど発達特性のあるお子さんは、今までと全く違う言い方をされると、かえって混乱することがある、と山岸先生は言います。

山岸先生
山岸先生:

今までお父様・お母様がされてきた声かけから、全く違う言い方をされると、お子さんもパニックになってしまうことがあるんです。

なので、そのお子さんにどういう言い方が響くかは、今どういう状況なのかを私たちもお聞きしながら、「今までこういうふうに伝えてこられたのなら、次はこうするのがいいかな」と一緒に考えていけたらと思っています。一人で抱えずに、一緒に考えていけるほうがいいなと思います。

かほ
かほ:

「正しい声かけ」を一人で完璧にやろうとしなくていい、ということですね。

声かけは、正解の言葉を覚えるより、その子に合う言い方を少しずつ探していくものです。どの言葉なら届くのか、今の伝え方をどう変えていけばいいのか迷ったら、お子さんの様子を具体的に伝えて相談してみてください。

不登校の子の親御さんへ、山岸先生からのメッセージ

最後に、お子さんとの関わりに悩んでいる親御さんへ、山岸先生にメッセージをいただきました。山岸先生自身が大学の先生から教わり、胸に刻んでいる言葉だそうです。

山岸先生
山岸先生:

自分の子どもは、小さいころから自分が育ててきていて、小さいころは「こう言ったらこう変わる」というのがすごく見えやすかった。だから親だからこそ、自分の子どもは自分の言ったとおりになりそうだと錯覚してしまうことが多いんだよね、と。

でも、子どもって実は、親の言うことを一番聞かないんです。親は「一番思いどおりになる存在」だと思っていて、子どもは「一番言うことを聞かない存在」なんだから、親子はすれ違うものなんだよ、と。子どもは、そうやって親とすれ違いながら、社会でどのあたりまでならやれるかを探していくんだから、と。

山岸先生
山岸先生:

だから、子どもは思いどおりにならないもの、変えようとしても変えられないものだと割り切っていただいて、ぶつかりながら、「今この衝突は、この子が未来に向かって自立するための力をつけているんだな」と思ってほしいなと思います。

特に発達特性のあるお子さんは、変えようと思っても変わらない頑固さがありますから。どんな子であっても、親の思いどおりには変わらないのが子どもなんだ、ということを忘れないでほしいです。私自身も、それを胸に刻んでやっていきたいと思っています。

笑顔で話す山岸佳織先生
「親子はすれ違うもの」

完璧な声かけをしようとしなくて大丈夫です。言ってしまったら、本音で謝ればいい。その積み重ねが、お子さんにとって「この家なら本音を話せる」という安心につながっていきます。

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ゴールド

山岸 佳織先生

公認心理師・精神保健福祉士・臨床発達心理士

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「ADHDの小4息子、叱られ続けて自信をなくしています。親の関わり方を間違えたのでしょうか」

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