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ASD・ADHD・LDの違いとは? 子どもに出やすい特徴を公認心理師がわかりやすく解説【発達特性と不登校】

公開  不登校ミーツ編集部

この記事の要点

  • 発達障害(発達特性)は、ものの捉え方・コミュニケーション・注意の向け方・学習の進み方などに、生まれつきの脳の働きの違いから偏りが出る状態。現れ方は人によって全く違う(公認心理師・山岸佳織先生)。
  • ASDはコミュニケーションや想像力の困難(言葉を字義どおりに受け取る、予定変更が苦手など)、ADHDは一つのことに注意を向け続ける難しさ(忘れ物、思いつきですぐ動くなど)、LDは知的な遅れはないのに読み・書き・計算など特定の学習だけが極端に難しいのが中心的な特徴。
  • 3つの特性は1つだけ当てはまる子も、全部に当てはまる子もいる。診断名は困りごとの特徴に付いた「名前」で、子どもが何に困っているかを想像する手がかりとして使うもの。
  • 発達特性のある子の不登校では、特性そのものより、特性と学校という環境のミスマッチが積み重なることが大きい。診断名に振り回されず、その子自身を見ることが大切。

「ASD」「ADHD」「LD」。

お子さんが学校に行けなくなって調べものをしていると、こうしたアルファベットの言葉を何度も目にします。でも、それぞれ何が違うのか、うちの子に当てはまるのかどうかは、なかなかわかりにくいものです。

今回は、公認心理師の山岸佳織先生に、発達特性のあるお子さんの不登校を考えるうえでの前提として、ASD・ADHD・LDそれぞれの特徴と違いを伺いました。

対談する不登校ミーツのかほと公認心理師の山岸佳織先生
左:かほ(不登校ミーツ)/右:山岸佳織先生

ASD・ADHD・LDの違いは?【一覧表】

ひとことで言うと、ASDは「コミュニケーションや想像力」、ADHDは「注意の向け方」、LDは「特定の学習」に、それぞれ偏りが出やすい特性です。まずは山岸先生のお話をもとに、3つの違いを表にまとめます。

特性中心になる特徴子どもに見られやすいこと本人・親が抱えやすい苦しさ
ASD(自閉スペクトラム症)コミュニケーションの困難、想像力の困難会話の意図を読み取りにくい/言葉を字義どおりに受け取る/お世辞や建前がわからない/予定の変更でパニックになる/感覚の過敏や偏り本人は頑張っているのに、周りの子に理解されにくい
ADHD(注意欠如・多動症)一つのことに注意を向け続けるのが難しい忘れ物が多い/順序立てて考えたり行動したりするのが苦手/話が飛ぶ/思いついたらすぐ動く「甘え」「しつけの問題」と誤解され、親子とも追い詰められやすい
LD・SLD(学習障害・限局性学習症)知的な遅れはないのに、読み・書き・計算など特定の学習が極端に難しい授業の内容はわかるのに漢字が書けない/数の大小がつかみにくい「ほかはできるのに、なぜこれだけ」という苦しさ

そもそも「発達障害」とはどういうものなのか、山岸先生はこう説明します。

かほ
かほ:

「発達障害」という言葉を、ここ数年すごくよく聞くようになりました。そもそも、どういうものなんでしょうか。

山岸先生
山岸先生:

発達の過程で、ものの捉え方や見え方、人とのコミュニケーション、注意の向け方、学習の進み具合など、いろいろなところに少し偏りが出る状態だと思っていただけるといいかなと思います。

原因は、生まれつきの特性や、脳の働きの違いだと考えられています。ただ、現れ方は人によって全然違うものなんです。

かほ
かほ:

その現れ方の違いは、何によって生まれるんですか?

山岸先生
山岸先生:

本人の特性そのものに加えて、周りの環境や、学年によって求められることの違いでも出方が変わってきます。

代表的なものとしては、ASD(自閉スペクトラム症。自閉症やアスペルガーといった言葉で聞いたことがある方もいると思います)、ADHD、それからLD、最近はSLDという言い方もされる学習障害。だいたいこの3つが代表的なものと言われています。

なお、文部科学省が2022年に行った調査では、通常の学級に在籍する小・中学生のうち、知的発達に遅れはないものの学習面または行動面で著しい困難を示すとされた子は推定8.8%でした(担任の先生などの回答による割合で、診断を受けた子の割合ではありません)。決してめずらしいことではありません。

ASD(自閉スペクトラム症)の子どもに出やすい特徴は?

山岸先生によると、ASDの一番の特徴は「コミュニケーションの困難」と「想像力の困難」です。言葉をそのまま受け取ってしまうことや、予定の変更が苦手なことが、具体的な形として現れやすくなります。

かほ
かほ:

まず、ASDにはどんな特徴がありますか?

山岸先生
山岸先生:

一番の特徴としては、コミュニケーションの障害と、想像力の障害と言われています。

具体的には、会話の意図を読み取りにくかったり、言葉を表面的に捉えてしまったり。お世辞や建前がわからない、ストレートすぎてしまう、といったことがよく言われます。

それから、予定の変更が難しい。急に、言われていたことと違うことを言われると、どうしていいかわからなくなってパニックを起こしたり、癇癪を起こしてしまったりすることもよくあります。

かほ
かほ:

どれも日常生活に影響してきそうな特徴ですね。

山岸先生
山岸先生:

そうですね。おうちの中ではあまり予定変更をしなくても過ごせるけれど、学校ではそういう場面が多くなります。それが続くと、学校に行きたくないという気持ちにつながりやすい特徴でもあるかなと思います。

かほ
かほ:

私のところに来るご相談でも、ASDのお子さんがお友達との人間関係をうまく築けなくて、いじめられてしまったり、仲間外れにされてしまったりというお話をすごくよく聞きます。

山岸先生
山岸先生:

そうですね。お友達が冗談を言っているのに、冗談だと感じられなかったり。

それから、ASDのお子さんには感覚のデコボコがあることもあるので、自分は軽くトンとしたつもりが、相手の子からすると思いっきり叩かれたように感じてしまう、ということもあります。感覚的なところでも、コミュニケーションのずれが出てくることは結構あるかなと思います。

本人が頑張っているだけに、周りの子は理解が難しいし、本人も苦しくなりやすい特性かなと思います。

話す山岸佳織先生
ASDの特徴を、具体例を交えて説明する山岸先生

ASDの子が学校でどんな困りごとを積み重ねやすいか(冗談の約束を本気にして夜の公園で待っていた例、運動会の音がつらくて休むうちに戻り方がわからなくなる例など)は、1本目の記事「ASD・ADHD・LDの子が、学校で積み重ねやすい困りごと」で詳しく紹介しています。

ADHD(注意欠如・多動症)の子どもに出やすい特徴は?

ADHDの一番大きな特徴は、一つのことに注意を向け続けるのがとても難しいことです。そこから、忘れ物、話が飛ぶ、思いついたらすぐ動く、といった姿が見えやすくなります。

かほ
かほ:

続いて、ADHDの特徴についても教えてください。

山岸先生
山岸先生:

ADHDは、集中が続きにくいとか、「ここを見て」「今これを話しているよ」というように、一つのことに注意を向け続けるのがとっても難しいというのが一番大きな特徴かなと思います。

今これをしていた、ということを忘れてしまうので、忘れ物をしてしまう。「今何してたっけ」となるので、順序立てて物事を考えられなかったり、話が飛んだりします。

順序立てて行動するのがとても難しいので、逆に、思いついたことをすぐ行動してしまうこともあります。不注意と衝動性は別のものと考えられることもあるんですけど、実は根っこが同じところにある、というお子さんもたくさんいらっしゃいます。

かほ
かほ:

ADHDの特徴は、「甘え」と捉えられたり、ふざけていると思われたりすることも多そうですね。

山岸先生
山岸先生:

そうですね。親御さんがしつけをうまくできていないと思われたり、子どもの声が大きいときに周りの人から「しつけろよ」と言われてしまったりして、親御さんも苦しくなってしまうことがあります。

ご本人も、頑張っているのに、なんでできないんだろうと、すごく落ち込みが強くなりやすいタイプの特性かなと思います。

かほ
かほ:

ASDとはまた違う苦しさがありそうですね。

LD・SLD(学習障害)の子どもに出やすい特徴は?

LD・SLDは、知能検査では知的な問題はないとされるのに、読み・書き・算数などのうち特定のものだけが、知能から想定されるところまで届かない状態です。

かほ
かほ:

最後に、LDやSLDにはどんな特徴があるか教えてください。

山岸先生
山岸先生:

LDやSLDと言われるのは、知的には大きな問題がないお子さんです。WISC(ウィスク)などの知能検査をとっても「知的には問題ないですね」と言われる。けれども、読み、書き、算数のうちのいくつかが、知能から想定されるラインに届かないという状況のあるお子さんになります。

かほ
かほ:

今度は、授業についていくこと自体がすごく難しそうな特性ですね。

山岸先生
山岸先生:

そうですね。全部が苦手だったら、「僕は勉強が苦手なんだよね」と、ある意味開き直れるタイプのお子さんもいらっしゃいます。

でも、本人は「自分はいろんなことができるのに、なんでこの勉強だけわからないんだろう」となりやすい。読めるのに書けないとか、算数に困難のあるお子さんだと102と201のどちらが大きいかがわからないとか。そうなると、授業の時間にやっていること自体が全くわからなくなってしまうことが結構あるので、とても苦しいかなと思います。

身ぶりを交えて話す山岸佳織先生
「ほかはできるのに、なぜこれだけ」という苦しさについて話す山岸先生

LDの子は、ほかの子より学習に時間がかかり、とても疲れやすい(易疲労性)ことも見落とされがちです。この点も1本目の記事で山岸先生が話しています。

この記事でお話を伺った先生に、
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ゴールド

山岸 佳織先生

公認心理師・精神保健福祉士・臨床発達心理士

親子の「今」を大切に、一緒に考えます

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ASD・ADHD・LDが重なることはある? 診断名より大事なこと

あります。 1つだけ当てはまる子も、3つ全部に当てはまる子もいます。そして山岸先生は、「何個当てはまれば診断」ということではなく、診断名はその子が何に困っているかを想像するための手がかりだと話します。

かほ
かほ:

ここまで3つの特性を伺ってきて、「あれ、うちの子当てはまるかも」と思った方も多いと思います。特徴の現れ方に、個人差はあるんですか?

山岸先生
山岸先生:

あります。今お話しした3つのうち、ASDだけ当てはまるお子さんもいますし、全部の特徴に当てはまるお子さんももちろんいます。

何個当てはまったらこの診断、ということではないんです。その子が今何に困っているんだろう、というのを紐解いていくときに、「こういうところはASD的なのかな」「ADHDっぽい要素があるのかな」とわかることがメリットになります。

診断は、困りごとの特徴に名前をつけているだけです。でも、診断名を見ると、こんなことで困っているのかな、という想像がしやすくなる。そういうメリットはあるかなと思います。

かほ
かほ:

この診断ならこのパターンで、こうすればいい、という型があるわけではなくて、あくまで当たりをつけるための材料が診断名なんですね。

山岸先生
山岸先生:

そうですね。お子さんによって本当に違っていて、たとえば同じASDでも、空気を読みたいと思っているタイプのお子さんもいれば、「空気は読めないよ」と開き直っているタイプのお子さんもいます。「空気に文字はない」と言われたこともあります。

それでも、コミュニケーションが苦手という特徴は持っている、というのが診断がついている状態です。

ただ、同じ「コミュニケーションが苦手」でも、しゃべれないのか、相手の話を理解しようとしていないのか、理解しようとしているけれど、どうしてもその子のフィルターの中でずれてしまうのかで、出方も結果も全然変わってきます。だから、診断名に振り回されずに、その子自身を見ていくのが大事かなと思います。

話す公認心理師の山岸佳織先生
「診断名に振り回されずに、その子自身を見ていく」と山岸先生

発達特性のある子が不登校につながりやすいのも、特性そのものというより、特性と学校という環境のミスマッチが積み重なることが大きい、と山岸先生は話します。くわしくは「理由がわからない不登校は発達障害が原因?」をあわせて読んでみてください。

不登校の子の親御さんへ、山岸先生からのメッセージ

最後に、お子さんの特性や不登校で悩んでいる親御さんへ、山岸先生にメッセージをいただきました。

山岸先生
山岸先生:

こうした困りごとを抱えているお子さんの親御さんは、とってもとっても大変だと思います。それを相談することにハードルがある、というお気持ちもとてもよく理解できます。

ただ、こういう困りごとがあるのは、お子さんが悪いわけでも、まして親御さんの育て方や対応が悪かったわけでも全くありません。むしろ、ご家庭が安心できる環境だったからこそ、困りごととしてご家庭で出てきているものでもあります。

困った行動が出ているのは、お子さんにとって何か大変さがあるよ、というサインでもあります。これから先の人生で困ったことに出会ったとき、乗り越える手段をどう増やしていけるか。そのヒントを探す場でもあると思うので、今困りごとが起きたことをチャンスだと思って、お子さんと向き合っていってほしいなと思います。

笑顔で話す山岸佳織先生
「困りごとは、ヒントを探すチャンスでもある」

ASD・ADHD・LDという言葉は、お子さんにラベルを貼るためのものではなく、お子さんが「何に困っているのか」を理解するための手がかりです。当てはまるかどうかを一人で判断しようとせず、「この子は今、何がつらいんだろう」というところから、専門家と一緒に考えてみてください。

この記事でお話を伺った先生に、
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ゴールド

山岸 佳織先生

公認心理師・精神保健福祉士・臨床発達心理士

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