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不登校ミーツ

予定変更でパニックになる子どもへの対応は? 初めての場所を嫌がる発達特性のある子に親ができることを公認心理師が解説

公開  不登校ミーツ編集部

この記事の要点

  • 予定変更で不機嫌になったりパニックになったりするのは、多くの場合わがままや反抗ではなく、本人が非常に混乱している結果(公認心理師・山岸佳織先生)。
  • 発達特性のある子は、楽しみにしていたことが崩れる不安や、頭の中で組んだ予定を組み立て直すことに、定型発達の子以上に高い負荷がかかっていることがある。
  • 予定が変わるとわかったら早めに伝え、「変わるもの」と「変わらないもの」をセットで、メモや絵など目で見える形で伝える。
  • パニックの最中は説得せず、「嫌だったね」と気持ちを代わりに言葉にするほうが、結果的に早く落ち着くことが多い。
  • 初めての場所を嫌がるときは、まず何が嫌なのかを知ること。「なんで?」ではなく選択肢を出して聞くと答えやすい。

「出かける予定がなくなっただけで、大泣きして手がつけられない」

「初めての場所に行くとなると、何日も前から嫌がって動けなくなる」

予定が変わったり、慣れない場所に行ったりするたびに不機嫌になる、パニックになる。周りからは「わがまま」と見られがちで、親御さんも対応に疲れてしまうことがあります。

こういうとき、子どもの中では何が起きているのでしょうか。親は、どう伝えて、どう寄り添えばいいのでしょうか。

今回は、公認心理師の山岸佳織先生に、発達特性のあるお子さんが予定変更や初めての場所でパニックになるときの対応を伺いました。

対談する不登校ミーツのかほと公認心理師の山岸佳織先生
左:かほ(不登校ミーツ)/右:山岸佳織先生

予定変更でパニックになるのは、わがままなの?

山岸先生の答えは、「ほとんどの場合、わがままや反抗というより、本人自身が非常に混乱している結果」というものでした。

かほ
かほ:

予定が変わると不機嫌になったり、気持ちの切り替えにとても時間がかかったりする。これは、何が起きているんでしょうか。

山岸先生
山岸先生:

「うちの子、わがままで」と言われることが多いご相談かなと思うんですが、ほとんどの場合は、わがままとか反抗しているというよりも、本人自身が非常に混乱している結果であることが多いかなと思います。

山岸先生は、スーパーに行く予定がなくなった場面を例に、子どもの中で起きていることを説明してくれました。

山岸先生
山岸先生:

たとえば、「スーパーに行って、これとこれを買って、おうちに帰って、買ってきたものをこんなふうに食べて、楽しい時間を過ごそう」と思っていたとします。そこで「スーパーに行かなくなったよ」と言われると、買ってもらう楽しみも、食べる楽しみも、全部崩れてしまうんですね。

すると、「楽しいと感じられることが何もないじゃないか」という不安や、行くはずだった時間に「じゃあ、その間どうしたらいいんだ」という、足元が崩れるような不安感が出てきます。

それから、頭の中で組んでいた予定を、もう一回組み立て直すこと自体に、定型発達のお子さん以上に、非常に高い負荷がかかっているケースもあると思います。

予定の変更が苦手なことは、ASD(自閉スペクトラム症)のある子の特徴としてよく挙げられるものの一つです。山岸先生も、急に言われていたことと違うことを言われると、どうしていいかわからなくなってパニックや癇癪を起こしてしまうことがある、と話しています。

学校は家に比べて予定変更が多い場所です。山岸先生は、それが続くことで「学校に行きたくない」という気持ちにつながりやすい、とも指摘していました。発達特性と学校のミスマッチについては、理由がわからない不登校と発達特性の記事で詳しく紹介しています。

予定が変わるとき、どう伝えればいい?

基本は、荒れる前に手を打つこと。予定変更がわかったらなるべく早めに、「変わるもの」と「変わらないもの」をセットで、子どもにわかりやすい形で伝えます。

かほ
かほ:

こういうとき、親はどう対応してサポートしていけばいいですか?

山岸先生
山岸先生:

まず、できれば荒れる前になんとかしてあげたい、というのが基本かなと思います。

予定変更があるとわかっているときには、なるべく早めに伝えてあげる。ただ、これはお子さんの認知の段階にも関わってくるので、たとえば1週間後の予定を今言われても難しい、というお子さんなら、3日前くらいがいい、という限度があるかもしれません。でも原則としては、予定が変わった時点で「こう変わるよ」と伝えてあげるのがいいと思います。

「変わるもの」と「変わらないもの」をセットで

山岸先生
山岸先生:

伝えるときは、変わるものと変わらないものをセットで伝えてあげるといいかなと思います。

たとえば、スーパーに行く用事がなくなったときに、「スーパーに行くのはなくなったよ」で終わるのではなくて、「スーパーに行くのはやめにしました。代わりにこれをすることにしました。でも、そのあと帰ってきたら、いつものルーティンと同じだよ」と。

その変わらないところもセットで伝えてあげると、見通しが持ちやすいかなと思います。

口で言うだけでなく、メモや絵で「見える化」する

山岸先生
山岸先生:

発達特性のあるお子さんの場合、言葉で言われたことは理解できていても、意外とすぐに抜けていってしまうこともあります。

なので、口頭だけで説明するのではなく、メモを書きながら伝えたり、お子さんの認知の段階によっては時計のイラストを描いてあげたり、「スーパーの代わりに公園で時間をつぶそうね」とブランコの絵を描いてあげたり。お子さんにとってわかりやすいことを優先して伝えてあげるといいなと思います。

伝え方のポイント例
なるべく早めに伝える予定が変わった時点で伝える(先の予定が理解しにくい子なら、3日前くらいなど子どもに合わせて)
変わるもの・変わらないものをセットで「スーパーはなし。代わりに公園。帰ってきたらいつもと同じだよ」
目で見える形にするメモを書きながら話す/時計のイラスト/行き先の絵(ブランコなど)
話す山岸佳織先生
「変わるものと変わらないものを、セットで伝えて」と山岸先生

パニック・ギャン泣きの最中は、どう対応する?

「もう決まったでしょ」「もう言ったでしょ」と説得するより、「それ嫌だったんだね」と気持ちを受け止めるワンアクションを入れるほうが、結果的に早く落ち着くことが多い、と山岸先生は話します。

かほ
かほ:

不機嫌になっている真っ最中は、どんなふうに対応したらいいでしょうか。

山岸先生
山岸先生:

予定変更を伝えた直後なのか、実際にその予定の最中なのかによって、親御さんとしてできる幅は少し変わってくるかもしれません。

でも基本的には、不機嫌になっているときに「でも、もう決まってるでしょ」「もう言ったでしょ」「もうここに来ちゃったんだからさ」と言うのは、かえって混乱を長引かせることがあります。全部は難しいかもしれないけれど、できれば「それ嫌だったんだね」「気持ちはわかったよ」というワンアクションを入れてあげるほうが、結果的には早いかなと思います。

山岸先生
山岸先生:

実際に、スーパーの目の前で「行かない」と言われてギャン泣きされたりすると、そんな悠長なことは言っていられない、というところもあると思います。

でも、そのときにギャン泣きの声に負けないように一生懸命「こうだから、ああだから」と説得してしまうと、かえってその声や音が刺激になって、落ち着くタイミングがなくなってしまうこともあります。

どちらかというと、ギャン泣きの間は「嫌だったね」「そうだね」「しんどかったね」と、気持ちを代わりに言ってあげるほうが、結果的には早く収まってくることが多いかなと思います。

気持ちを言葉にして返す関わり方は、ゲームをやめられずに癇癪が起きたときにも使えます。ゲームと癇癪の記事では、山岸先生が「実況中継」と呼ぶ声かけを詳しく紹介しています。

親御さん自身の心の余裕も大事

かほ
かほ:

そうなると、親御さんの心の余裕も必要ですね。

山岸先生
山岸先生:

そうですよね。親御さん自身がしんどくならないように、気持ちを吐き出す場があったり、うまくストレスと付き合っていくことが大切です。おいしいものを食べて、ちゃんと寝る。それができないと、ストレスってどんどん溜まっていくので。

意識的においしいものを食べて、力を抜ける場所を作って、「自分は頑張ったぞ」と認めてあげてほしいなと思います。

初めての場所や慣れない場所を嫌がる子は、どこまで本人のペースに合わせる?

山岸先生がまず大切にしてほしいと話すのは、「なぜ嫌なのか」を知ることです。慣れない場所が嫌な理由は一人ひとり違うので、本人の「嫌」の中身を理解するところからスタートします。

かほ
かほ:

新しい場所や慣れていない場所を強く嫌がる。こういうときに、どこまで本人のペースを尊重して、どこから背中を押せばいいでしょうか。

山岸先生
山岸先生:

慣れていない場所が嫌な理由って、たぶんすごくたくさんあると思うんですよね。

実は、私も慣れていない場所は結構苦手なんです。まず方向音痴なので、地図を見ながら本当にたどり着けるかな、というのがひとつ。たどり着いても、待ち合わせ場所は「会議室」と書いてあるけど、地図には会議室の場所までは出ていないので、どうやって行けばいいんだろう。そこまで行く間に誰に話しかければいいかな。「心理師の山岸です」と言って「誰?」と言われたら、なんて答えれば伝わるかな、とか。

それから、私はにおいに結構過敏なところがあって、工事現場のほこりっぽいにおいが苦手なんです。なので、行く途中のすぐ近くで解体工事をしていたらどうしよう、とか。

身ぶりを交えて話す山岸佳織先生
自身の「初めての場所が苦手な理由」を話してくれた山岸先生
山岸先生
山岸先生:

自分のことでも、初めての場所に行くとなると不安になる要素がいっぱいあるので、お子さんが「行きたくない」「慣れていないところがすごく嫌なんだ」と言ったときには、「やだよね、わかるよ」と。

そのうえで、私の場合はこういう理由で行きたくないんだけど、じゃあ君の場合は、何が原因で行きたくないんだろうというのを、しっかり知ってもらいたいなと思います。

山岸先生
山岸先生:

たとえば、音に過敏なお子さんなら「電車に乗るのが怖い」「いつもの駅なら静かだけど、地下鉄が通る日はうるさくて嫌なんだ」とか。「行った先で、自分が何をしなきゃいけないのかわからない」とか。いろんな怖さがあると思います。

「なんで?」ではなく、選択肢を出して聞く

山岸先生
山岸先生:

「行きたくないの?」と聞くと「行きたくない」で終わってしまうし、「なんで?」と聞かれても、理由なんて思いつかない、ということもあります。なので、選択肢で聞いていくほうが答えやすいことが多いですね。

山岸先生
山岸先生:

特に、言語理解が苦手なお子さんだと、自分の中で「嫌だ」というイメージがはっきりあっても、「なんで?」と言われると、うまく言葉にしようとするうちに本人もわからなくなってしまうんです。

だから、大人のほうから「これか、これか、これか。それとも今あげた以外? どんなところが一番嫌なの?」と、お子さんが答えやすい形で示してあげる。お子さんの「嫌だ」という気持ちを、まず理解するところからスタートできるといいなと思います。

かほ
かほ:

選択肢で聞いていく、というのはすごく大事なポイントですね。

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ゴールド

山岸 佳織先生

公認心理師・精神保健福祉士・臨床発達心理士

親子の「今」を大切に、一緒に考えます

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朝の支度が進まない子には、どんな工夫ができる?

予定変更や新しい場所と同じく、今何をすればいいのかが見えないことが、朝の支度や寝る準備が進まない背景にあることがあります。山岸先生のおすすめは、やることの「見える化」と、「早くして」の代わりに「今できたこと」を伝える声かけです。

かほ
かほ:

複数のことを同時にするのが苦手で、朝の支度や寝る準備がなかなか進まない。どんな工夫ができるでしょうか。

山岸先生
山岸先生:

優先順位がつけられなかったり、今何をしているのかを忘れてしまったり、という状態なのかなと思います。なので、今何をしているのかを見える化していくのが有効なお子さんが多いですね。

たとえば、「顔を洗う」「ご飯を食べる」「着替える」「歯磨きをする」というチェックリストを作って、マグネットなどで一つずつチェックしていく。そうすることで、今何をしているのかを忘れないようにするのは、有効なケースがあります。

山岸先生
山岸先生:

もうひとついいところは、親御さんが一つひとつ「はい、次は?」と言わなくても、ボードを見せて「これこれ」とやると、本人が自分で気づけることが多いんです。怒られた感も減るし、親御さんの負担も減るし、「自分でできたね」という達成感にもつながりやすいと思います。

「早くして」より「今、何ができたか」

山岸先生
山岸先生:

「早くして」って言いたくなりますよね。私も言ってしまうことがあります。でも、何をしていいかわからないお子さんに「早くして」と言っても、何を早くすればいいのかがわからないので、あまり意味のない声かけだったなと、後から反省することがたくさんあります。

それよりも、「今着替え終わったね、さすがじゃん」と、終わったところまでを確認してあげる。そのうえで「着替え終わったら、次はこれだね」「次は何かな」と、今、何に取り組まなきゃいけない時間なのかを意識できるような声かけのほうが有効かなと思います。

よくある声かけ代わりにおすすめの声かけ
「早くして」「今、着替え終わったね」(できたところまでを確認する)
「次は何やるの?」と毎回言うチェックリストのボードを見せて「これこれ」と指さす
—「着替え終わったら、次はこれだね」「次は何かな?」
話す公認心理師の山岸佳織先生
「その子には、その子なりの理由が必ずあります」と山岸先生

不登校の子の親御さんへ、山岸先生からのメッセージ

最後に、予定変更やパニックをはじめ、毎日の「困った行動」と向き合っている親御さんへ、山岸先生にメッセージをいただきました。

山岸先生
山岸先生:

「困った行動」と一言でくくられる行動であっても、その子には、その子なりの理由が必ずあります。

特性だから仕方ないと諦めるのでもなく、本人に「頑張りましょう」とするのでもなく、まずその子がどういう状態なのかを知って、環境のほうから整えていけるところを探していくのが大切です。そして、どこまで家庭で頑張るか、どこから相談するかといったことも、ご家族だけで決めなくていいことだと思います。

山岸先生
山岸先生:

私が大学の先生に言われて、なるほどと思ったことがあります。自分の子どもは小さいころから自分で育ててきて、こう言えばこう変わる、というのが見えやすかったので、親だからこそ「自分の子は、自分の言ったとおりになりそうだ」と錯覚してしまうことが多い。でも実は、子どもって親の言うことを一番聞かないんだよ、と。

親子はすれ違うものだし、子どもはそうやって親とすれ違いながら、社会でどのあたりまでならやれるかを探していくんだと。特に発達特性のあるお子さんは、変えようと思っても変わらない頑固さがありますから。今のこの衝突は、この子が将来自立するための力をつけているんだな、と思ってもらえたらと思います。

笑顔で話す山岸佳織先生
「その子には、その子なりの理由があります」

予定変更で泣き叫ぶ姿も、初めての場所を嫌がる姿も、外から見れば「わがまま」に見えるかもしれません。でもその裏には、足元が崩れるような不安や、言葉にできない「嫌」があります。早めに、見える形で伝えること。荒れたときは、気持ちを言葉にして返すこと。そして「何が嫌なのか」を、選択肢を出しながら一緒に探してみてください。

この記事でお話を伺った先生に、
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ゴールド

山岸 佳織先生

公認心理師・精神保健福祉士・臨床発達心理士

親子の「今」を大切に、一緒に考えます

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Q

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ご相談ありがとうございます。 「本人が回復するまで待ちたい」というお気持ちと、「進級や転入には期限がある」という現実との…

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